Vol.63 2017年3月号
2017年03月03日

こんにちは!
皆さまお元気にお過ごしでしょうか?
3月といえば桃の節句です。
最近ではひな人形を公開して、
地域に集客するなどのイベントもあるようですね。
【河合由紀子のちょっとイイ話】
前回に引き続き事業承継のお話を書かせていただきます。
前回までの内容は、事業承継は後継者に会社の将来を託すことであり、後継者の成長が不可欠であるが、親主導になると後継者が受け身になってしまい、様々なことに主体的に取り組むことができないということを書かせていただきました。しかし、親主導の事業承継の形になっているのが一般的です。今回はなぜそうなってしまうのかについて解説したいと思います。
みなさんはもうお気づきかもしれませんが、「事業承継を相続と同じものである」となんとなく世間一般的に思われていることが、その理由です。経営者は事業承継を自分が死んだあとの話だと考え、後継者も親の財産を相続するのと同様に会社も継ぐと考えています。また、私たちのような税理士などの専門家も、事業承継対策といえば株価対策という認識でいる場合が大変多いです。
確かに、事業承継と相続は同時期に起こることが多いですので、良く似たものと考えてしまいがちです。しかし、そうすると、必然的に後継者は受け身になってしまいます。というのも、相続は親が亡くならないと発生しませんし、積極的に欲しいと言うべきものではないからです。誰に何を遺すのかを決めるのは親であって、子が決めるべきものではありません。そして、事業承継を相続と同じと考えてしまうと、事業承継も経営者が主体的に進めるものであって、子が口出しすべきものではないとなり、親主導型の事業承継になってしまい、周囲が触れてはいけないタブーとなってしまいます。
経営者は、自分がこの世を去った後のことまで考えたくないので、事業承継の話に触れられるのを嫌がりますし、後継者も事業承継の話を積極的にすることに対し、罪悪感をもってしまいます。親が元気なのに、死んだ後のことを話すのは不謹慎なことであり、ましてや会社の株主名簿や決算書を調べたりするのは、親が生きているうちに親の懐の中を覗いているようで、気が引けてしまうという感覚になります。同様に、専門家も事業承継について経営者に言い出しにくい雰囲気になってしまっています。
このような事態は、事業承継と相続を同じことと考えていることにより生じます。しかし、相続は亡くなられた時点での財産を確定した価値で受取るものですが、事業承継で受取るものは根本的に異なります。事業の価値は経営者次第で上がりもすれば下がりもします。つまり、価値が確定していない生きているものを、その命運を握る後継者が受け取ることというのが事業承継なのです。このように、事業承継は相続とは全く異なるものです。それを混同して考えることが事業承継を失敗させる根本的な原因なのです。次回はどうすれば後継者が自分の問題として事業承継に取り組めるかについて考えてみたいと思います。