経営サポート隊通信 | 大阪の経営支援ならプラス・パートナー
経営サポート隊通信
経営サポート隊通信

Vol.72 2017年12月号

2017年12月01日

こんにちは!!

早いものでもう12月、

今年ももう終わりですね。

何かと気ぜわしい年末ですが

年内に終わらせることは終わらせて

新しい年を迎えたいものですね。

それでは今月も経営サポート隊通信を

元気にお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

(「ジョブ理論」クレイトン・M・クリステンセン ハーパーコリンズ・ジャパン)

今月は、ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授の著作であり、最近日本語に翻訳された「ジョブ理論」という本のなかから、面白い一節をご紹介したいと思います。

『BMWは長いこと同社のビジネスを高性能車として位置付けてきた。ためらいも見せずに〝男の車″と広告を打っていた時期もある。だが、2008年初頭の景気後退による自動車業界の急落を受け、BMWの経営陣はいったん立ち止まって、消費者が車を雇用してどのようなジョブを片付けようとしているのか見きわめようとした。そこで発見したものが、競争の勢力図の見方を一変させた。環境にやさしい低燃費車への需要が高まり、都市化や運転免許を取得する若者の減少などが合わさって、本当のジョブはモビリティだということにBMWは気づいた。「A地点からB地点へ楽に移動したい」。BMWはもともと従来の高級車と競っていたが、実はテスラ、ウーバー(インターネットを使ったタクシー配車システム)、ジップカー、それにグーグルの自動運転プロジェクトとも競っていたのだ。(中略)

それにより、ハイブリッド電気自動車のBMWiシリーズが生まれ、さらには、ベルリン、ウィーン、サンフランシスコ、ロンドンで、ジップカーのようなカーシェアリングの試験プログラムも始まっている。「私たちは供給側から需要側へと視点を変えた」、つまりは、プロダクトを売ることからジョブに応えることへシフトしたのだ。この発想自体が、ディーラーを最優先顧客とみなしてきた自動車メーカーの体質に大変革をもたらすものだった。誰が顧客なのか、顧客は何を気にかけるのか、その一度の飛躍で劇的な変化が起きる。見方を変えたBMWで劇的な変化が起きたように。』

クリステンセン教授は破壊的イノベーション論で有名ですが、ではどのようにすれば論理的にイノベーションを成功させることができるかについて、これまで誰も言及してきませんでした。この課題に取り組みその答えを見つけるための理論が「ジョブ理論」です。

上記にBMWの例を挙げましたが、本書の中でクリステンセン教授はこのように具体的な例をたくさん挙げています。イノベーションは特に大きな変化が起きる時代に、企業が生き残り、成長するために必要不可欠です。そして、今まさにその転換期にあるのではないでしょうか?

わが社の顧客は誰なのか、競争相手は誰なのか、顧客は顧客のどのような課題を解決するために私たちの製品又は(サービス)を雇用する(買う)のかについて深く考え、生きていく道を再検討する時だと思います。

 


Vol.70 2017年10月号

2017年10月03日

こんにちは!!

今年も残り3ヶ月になりました。

皆さまお元気でお過ごしでしょうか?

今月も経営サポート隊通信を

元気にお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

(「藁のハンドル」ヘンリー・フォード著 竹村健一訳 中公文庫)

大量生産を可能にすることにより、自動車を庶民のものとしたヘンリー・フォードは、創業当初はほんのわずかな従業員を雇用する小工場から、わずか18年で直接雇用する人は20万人、関連する協力会社の従業員を含めると60万人もの人々を雇用するまでになりました。その経営に対する考え方はどのようなものであったか、彼の著作である「藁のハンドル」から引用して考えてみたいと思います。

『労働者は、売り手である以上に買い手である。車輪の回転にはずみをつけるのは買い手側である。商品は一般の人々に買いやすいようにすることである。それが仕事をつくり、賃金を生む。それが事業拡大と、より大きなサービスのための余剰を生むのだ。それをなしとげるのは、経営者の責務である。労働者はどんなシステムのもとでも働くし、労働者にとっては、その生産方式が最良のものであるかどうか、人間の作業や材料から最大の成果が得られているかについて考えるのは、彼らに課せられた義務ではなく、実はどうでもいいことなのである。いずれにせよ一日働いたことに変わりはない。一日の仕事の相違は、その生産物の価値に現れる。そして、ここにこそ経営者の職務がある。』

フォードは、本書のはじめに「資本」「労働」「大衆」の利益は一致するものであると言っています。つまり、資本(会社)が利益を多く取って、賃金を下げ、顧客からも不当に利益を得れば、まわりまわって経営はうまくいかなくなる。なぜなら労働者は売り手である以上に買い手であるから、買い手の懐が乏しくなれば、不当に高い製品は購入されなくなるということを言っているのです。そして、経営者の仕事は、そのバランスをいかに考え整えるかであると言っています。

本書は1926年に書かれたものですが、現在にも通じるところがあるのではないでしょうか。情報が複雑化し、日々様々なものが変化する現在において、経営判断は大変難しいものです。ですから、情報を多くの人から集めるのは大切なことですが、企業の形をデザインすること、言い換えれば方向付けることは経営者にしかできません。そしてその成果は生産物(あるいはサービス)の価値になって現れるとフォードは言っています。

社会に価値をどのようにして生み出し、その価値をどのように配分するかを決めるのが経営者の仕事であり、それは、大規模な企業であっても中小企業であっても変わりはありません。多くの便利なツールが安価に使えるようになった現在において、むしろ中小企業の方が機動力の面で優位な部分も大いにあり、経営者の意思決定次第で中小企業にチャンスがある環境が整ってきているとも言え、なんだかワクワクするのは私だけでしょうか。

 


Vol.69 2017年9月号

2017年09月01日

こんにちは!!

早いものでもう9月ですね。

今月も経営サポート隊通信を

元気にお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

私事ですが、今年の2月に出産し、現在は子育てしながら仕事を続けさせていただいております。子育ては初めてのことの連続で思い通りにいかないものですが、試行錯誤しながらなんとか楽しくすごしております。

少し仕事と距離を置かざるを得ない状況になって、感じることがいくつかありました。「絶対私がしなければならないこと」というのは、全くないということがまず一つです。ちょっと語弊がありますので、訂正しますと、税理士業としては、税理士が不在ではそもそも事務所自体が成り立ちませんので、私がいなければ事業は立ちゆきません。しかし、おかげさまでよいスタッフに恵まれ、チェック機能もシステマティックにできるよう仕組みが整っておりますので、私が不在でもしっかりと処理は進んでいるということです。

また、どっぷり仕事の、特に主に作業の中に浸かっていると気づかないことに気づくことができました。仕事を大枠で冷静に眺め、今本当に必要なことは何かを考えるようになりました。これは、稼働できる時間が限られているためということも言えるかもしれません。

では私の役割は何かと考えますと、判断することだという考えにたどり着きました。どちらの方向に進むかの判断は、今は私しかできないことだと思います。なぜなら、全ての責任を負うことが私の役割でもあるからです。

全く一人で仕事をしている場合は別にして、企業(個人事業も含めて)は人間が集まって、ある商品やサービスをお客さまに提供する存在です。そして、その方向性を決めるのが、最終的にすべての責任を負うトップマネジメント(いわゆる社長)であるといえます。

中小企業は、社長がトップセールスであったり、一番の熟練工であったりして、実務に携わらなければ会社が回らないということが多いと思います。もちろん社長が大活躍されるのは良いことだと思います。一方で、社長が病気で不在になれば、たちまち会社がストップしてしまうという事態に陥ることを想像してみてください。社員ばかりでなく得意先、仕入先など様々な方に迷惑をかけはしないでしょうか?

1年に1度、せめて1日で良いので、仕事と距離を置いて、今後の事業について考える時間を持たれることを強くお勧めいたします。

私共では、事業計画作成を通じてそのお手伝いをさせていただいております。業務を離れ、電話もメールも社員さんからの相談もシャットアウトして、ご自身の事業と向き合う時間を作りませんか?是非、お問い合わせください!


Vol.68 2017年8月号

2017年08月01日

こんにちは!!毎日暑い日が続きますが、

皆さまお元気でお過ごしでしょうか?

今月も経営サポート隊通信を

元気にお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

(『戦略経営論』ガース・サローナ/アンドレア・シェパード/ジョエル・ポドルニー著 石倉洋子訳 東洋経済新報社)

企業経営において、「戦略」という言葉はしばしば使われますし、戦略のない行き当たりばったりの経営をしていては、社会構造が複雑化している今日において、生き残ることができないといわれています。

では、戦略はどのように立てればよいのでしょうか?と聞かれて、明確に答えることができる人はどれくらいいるでしょうか?答えることができたとしても、それは人によって違うかもしれません。今回は、戦略の基本的な考え方について書かれた『戦略経営論』の中から、戦略を立てるために不可欠な「企業の目標」に関する考え方にスポットを当てて、ご紹介したいと思います。

(以下抜粋)「企業の業績を測定する指標には、マーケット・シェア、評判、イノベーション、ブランド・イメージ、収益性、社員の満足度などいろいろある。戦略は業績のある特定の側面に働きかけることが多いので、戦略を立案し、企業の業績を改善しようとするマネージャーは、現在競争している市場で圧倒的な地位を占めること、メーカーとして最高の品質を達成すること、業界で最も革新的な企業になることなど、どの側面を改善しようとするのか、目標を明確にしなくてはならない。たとえばGEでは、ジャック・ウェルチの指揮のもと、競争する市場すべてにおいて1位か2位を占めることが目標として掲げられた。しかし、「業界で1位か2位になる」とか「最も革新的である」という目標は、企業の最終目標とはなりえない。営利企業の取締役は、自分の投資から最大のリターンを得たいと望む株主から信任を受けている存在であり、営利企業の最終目標は収益性改善以外にはない。企業が市場を独占したり、最高級の製品を製造したりすれば、利潤を最大化する一助にはなるが、これを企業の最終目標と混同してはならない。(中略)

利潤の最大化は、ほとんどの営利企業の最終目標だが、実際には、次の理由でこの目標から離れることもある。一つは、社会的目標である。企業の社会的目標が達成されれば、金銭的なリターンをある程度犠牲にしてもよいと考えて投資する株主もいる。アウトドア・ハイキングや登山、キャンピング用品分野で環境にやさしい商品を製造・販売するカリフォルニアのパタゴニアの収益性は、実際、環境問題への対応に必要な活動のため、ある程度影響を受ける。

二つ目は、マネージャーと株主の目標のずれである。マネージャーは、株主の利益を最大化するよりも、自分自身の利益を最大化しようと行動する。自分の昇進のために、長期的な収益性を犠牲にして短期的な収益性を高めようと努めたり、自分の権力や影響力を増すために、組織全体の業績を犠牲にしたりする可能性もある。」

大企業の場合は株主と経営者が異なることが多いため、株主は利益の最大化を求め、経営者(マネージャー)は自分自身の利益を最大化するよう行動すると考えられます。この点は必ずしも中小企業にも当てはまるとは言えませんが、目標を設定する際に「利益を上げる」ということは大企業であれ中小企業であれ当然意識しなければならないことだといえます。大企業は株主のため、では中小企業は何のために利益を上げなければならないのでしょうか?その答えは、私は長く存在するためだと考えています。なぜ利益を上げなければならないのか、利益を上げるために何をするのか、組織全体に浸透することが、経営者の最も大切な仕事なのではないでしょうか。


Vol.67 2017年7月号

2017年07月03日

こんにちは!!

早いものでもう7月ですね。

皆さまお元気でお過ごしでしょうか?

今月も経営サポート隊通信を

元気にお届け致します!

 
【河合由紀子のちょっとイイ話】

(「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」ジェームズ・C・コリンズ 日経BP社)

「ビジョナリーカンパニー」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?著者のジェームズ・C・コリンズはアメリカのビジネスコンサルタントです。彼が長年の調査をまとめた「ビジョナリーカンパニー」シリーズは4まで発刊されています。1、2では単なる成功ではなく飛躍的に成功した企業の、成功の理由を解き明かし、3では成功を収めた企業が衰退してしまった原因についてまとめています。また、4では不安定な環境下でも成功した企業に着目し、企業が成功する要因は単なる幸運だけではないということを明らかにしています。これらは、1社のみを調査して得られたデータではなく、複数社をピックアップして、それぞれの会社について詳しく調べるとともに、同業他社で飛躍的に成功を収めていない企業との対比をするという手法がとられており、より現実的な内容になっています。

今回は2番目の飛躍の法則の中から、その内容を少しご紹介したいと思います。 『「偉大な企業になるビジョンを追うこと自体には何の問題もない。飛躍を遂げた企業はいずれも、偉大な企業を築こうと努力しているのだから。しかし飛躍した企業は、厳しい現実を認識して、偉大な企業への道をたえず見直している。」

「岩を転がしてみたら、奇妙なものが下いっぱいあったとする。そのとき、岩をもとに戻す人もいるだろうし、そこにあったのがとんでもなく恐ろしいものであったとしても、岩を転がして奇妙なものをしっかり確認するのが自分の仕事だと考える人もいるだろう。」これはボウズのある幹部の発言だが、我々がインタビューを行った同社経営幹部のうちだれの発言であっても不思議ではない。率直に言って、世界のなかの自社の立場について、全員が少し神経質すぎるし、強迫観念にとらわれているとすら思える。…

新年はじめての経営会議で例年、15分ほどで前年の業績を回顧し、その後2時間をかけて今後の業績の悪化をもたらしかねない「奇妙で恐ろしいもの」について議論する。…経営陣全員が出席して、顧客に直接に接している営業担当者から厳しい質問や批判を受ける。同社が長年築き上げてきた伝統の一つだが、会議で従業員が経営陣に会社の間違いを指摘し、…「この点にもっと注意すべきだ」と主張できるようになっている。』

このような組織を作るために必要なことは何でしょうか?経営幹部の業績に対する真摯な態度、営業担当者からの声が経営幹部に届く風土は企業を飛躍的に成功させる可能性を広げるのではないでしょうか?

そのような風土を作るためには、組織の本気のコミュニケーションが欠かせません。御社では本気のコミュニケーションがとれていますか?一度見直してみられてもよいかもしれません。


Vol.66 2017年6月号

2017年05月29日

こんにちは!!

雨の多い季節になりましたが、

皆さまお元気でお過ごしでしょうか?

今月も経営サポート隊通信を

元気にお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】(『致知』2015年1月号より)

43歳で経営不振によりダイエーから切り離されたローソンの社長に就任し、その後請われてサントリーの社長に就任した新浪剛史さんと、ウシオ電機の設立者であり現会長の牛尾治朗さんの対談から抜粋しました。

新浪:日本というのはこれまでも、外からの力で体制を大きく変えるタイミングを得てきました。ですから今回(TPPの件)もこのタイミングを生かして改革を実行していかなければならない。まさにいま、そのトリガー・ポイントが来ているわけですね。その時に、これからどうなっていくかというビッグ・ピクチャーを描くことが大切です。グローバルに大きな絵を描いて、人々にこれから大きな成長の可能性があると信じてもらうことが必要です。大きな改革をすることは辛いけれども、トンネルの先には面白いものが待っていると皆に思わせることが重要だと思うんですね。

しかし優れたリーダーは、その一方で常に半面にあるリスクについて考えているものです。そんな素振りは見せなくても、危機感をものすごく持っている。大胆であると同時に、細心の心を持って事に臨むことが大事だと思います。前向きに考えるばかりではなく、何かあったらどうするということを常に考えている。リーダーとはそうあるべきだと私は思うんです。

牛尾:『詩経』に「戦戦兢兢(せんせんきょうきょう)、深淵に臨むが如く(しんえんにのぞむがごとく)、薄氷を踏むが如し(はくひょうをふむがごとし)」という言葉がありますが、まさにそれですね。

加えて私がいまのリーダーにぜひとも伝えたいのは、大平正芳元首相がおっしゃっていた「孤に徹し衆と和す(こにてっししゅうとわす)」という言葉です。

リーダーは確固たる信念を持ち、決断に際しては決して妥協せず、一人で徹底的に考え抜かなければなりません。改革の純度を落としてはダメなんです。けれども同時に、皆と和す心を持ち合わせていなければリーダーは務まらない。この言葉を新浪さんに贈りたいと思います。』

いかがでしょうか?リーダーのあり方について、大胆に大きな絵を描いてメンバーを鼓舞することと、リスクについて常に考えて腹をくくることを常に考えていなければならないと話されています。また一人で決断しながらも、メンバーを気持ちを一つにする心を持ち合わせていなければならないとも語っておられます。これらの心の持ち方は、意識していないと、ついどちらかに引っ張られてしまい、バランスが悪くなってしまいがちです。リーダーとしてこういった心のバランスを持ち続けるよう意識することが大切だと感じました。


-
お試し診断はこちら