Vol.83 2018年11月号
2018年11月13日
こんにちは!!
11月になりました。
今年も残り2ヶ月ですね。
今月も経営サポート隊通信を
元気にお届け致します!
【河合由紀子の●●●●】(「新・社長の姿勢」一倉定 日本経営合理化協会出版局)
今月は、「社長の教祖」と呼ばれた経営コンサルタントの第一人者、一倉定の著書から、「お客様指向型組織」というところを抜粋します。業績を上げるにはお客様の要求を満たし、売上を上げること。そのために、社長はお客様の声を直接聞く機会を持たなければならないと一倉氏は強く述べています。
『F社は、建材の総合問屋である。業績は順調で、安定的な成長を続けていた。しかし、F社長はこれに満足していなかった。お客様との間にナントなしのシックリいかない点があり、それがどうも我社の組織にあるのではないか、という疑問をもっていたからである。果たしてそうなのか、というのが私への相談である。F社のお得意は、官公庁、ゼネコン、工事業者、建材店である。営業体制は四課に分かれており、一課は生コンとサッシ、二課は一般建材、三課は衛生陶器、四課は住設機器であった。この営業体制は、F社の商品管理の都合に焦点を合わせたものであり、お客様の方から見ると不便である。それぞれのお客様は、サッシが欲しい場合は一課、一般建材が欲しい場合は二課というように、営業窓口が四つあるために、商談や交渉がわずらわしいからである。これがお客様との間がシックリいかない原因である。お客様第一主義ではなく、我社第一主義になっていたのである。
私の提案というのは、お客様との窓口は一本化し、第一課は官公庁、第二課はゼネコンというように改めることであった。こうなると、お客様との間はスッキリするが、今度は内部が厄介である。会社の全商品について、四つの課が扱わなくてはならないからである。「あちらを立てればこちらが立たず」の状況が生まれるからである。これをどう調整すべきか、ということになる。答えは簡単に出てしまった。売上高も利益も確実に上昇し、窓口一本化の正しいことが証明されたからである。
さあ、ここである。我社の都合を第一にしてお客様に不便をおかけして低業績を我慢するか、お客様の要求を第一に考えて内部は混乱しても優れた業績をあげるか。これを決めるのは社長である。社長の決定によって繁栄する会社とボロ会社とに分かれるのである。(中略)
人間は、本来「自己中心」である。そのために、多くの社長は自らの会社を自己中心に考えて経営していることに気がついていない。ごく少数の社長がこれに気がついてお客様第一に経営する。そして好業績を手に入れているのである。そこには、過当競争など全く存在しない。無人の野をゆくような状態しかないのである。高業績経営を実現する根本原理はただ一つしかない。それは、「我社の事情は一切無視し、お客様の要求を満たす」ことである。』