経営サポート隊通信 | 大阪の経営支援ならプラス・パートナー
今月の金言
今月の金言

2023年12月の金言

2023年12月01日


Vol.144 2023年12月号

2023年12月01日

12月なりました。
今年も残り1月です!今年のことは今年のうちに!
それでは、今月も元気に経営サポート隊通信をお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

今月は日経ビジネス電子版の『アマゾンのジェフ・ベゾスがウォルマート創業者から盗んだアイデア』(2023.8.18)という記事から抜粋してお届けいたします。

『ベゾスが愛読する経営書には、経営学者などが著した理論的な本が目立ちますが、その中にあって、やや異彩を放つのが、米ウォルマートの創業者、サム・ウォルトンの自伝『私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ』(講談社)です。アマゾンが小売りの世界を激変させる巨大企業に成長するまで、米ウォルマートは世界一の小売りとして君臨してきました。ウォルマートの2023年1月期の売上高は6113億ドル(約86兆円)にも達します。しかしアマゾンも2022年12月期の売上高が5139億ドル(約72兆円)と猛追しており、ウォルマートを抜くのは時間の問題といわれています。べゾスはアマゾンを起業する際にウォルマートを研究しました。とりわけ創業者のサム・ウォルトンの自伝で、自身のリーダー論を語っているこの本から多くのことを学びました。

まずアマゾンが社是とする「顧客第一主義」はウォルマートの基本理念です。ウォルマートは「EDLP(毎日低価格)」を掲げ、ライバルと比べて常に安い価格を提供する方針で驚異的な成長を遂げてきました。価格だけでなくサービス面でも最先端を走り続けており、例えば、顧客が商品を気に入らなかった際に簡単に返品できる仕組みは有名です。いつどんな商品を買っても安い、顧客本位で高水準のサービスを常に提供する、といった極めてベーシックながらも重要な価値を提供していることがウォルマートの強みです。それを見抜いたべゾスは、インターネット小売りの世界で同じ戦略を実行することを決意します。 インターネットが普及すると商品の価格比較がどんどん容易になるため、安くなければ生き残れないことに気づいていたからです。日本では「価格.com」が有名ですが、もちろん米国にも同様のサービスがあります。2005年に米シアトルの本社でインタビューした際に、べゾスが次のように語っていたのが印象的でした。「私は世界がもっと“透明”になっていくと信じている。消費者は過去と比べてはるかにたくさんの情報を得られるようになり、どんどん賢くなっている。私の理想は、消費者が世界のあらゆる情報を完璧に得られるようになっても、『アマゾンで買いたい』と選んでもらえるようにすることだ」

アマゾンがウォルマートを参考にしていると感じる点は、顧客第一主義だけではもちろんありません。「倹約主義」もそうです。私のウォルマート商法には、サム・ウォルトンの時代は、出張でホテルを使う際は複数の社員が同じ部屋に宿泊していたと書かれています。ウォルトンは従業員に質素倹約を徹底させていました。そこまでではなくてもアマゾンの倹約主義も有名です。例えば、創業期に使われるようになった「ドア・デスク」。ホームセンターに行って、オフィスで使うデスクを買おうとしたところ、ドアの方が安かったので、ベゾスはそれを買って4本の足をつけてデスク代わりにしたという話です。「ドア・デスク」はアマゾンの中心的な価値の1つである“倹約”の象徴となり、倹約のアイデアを生み出した社員にドア・デスク賞が贈られるようになりました。アマゾンでは、出張時の飛行機は幹部でもエコノミークラスを使うことになっていました。』

ゼロから全く新しいものを生み出すのはとても難しいことですが、柔軟な発想のもと、すでにある成功を参考にして何かを組み合わせ、新しい価値を生み出すことは、ゼロをイチにするほど難しくないことなのかもしれません。続きも興味深いので、次号に引き続き掲載します。


2023年11月の金言

2023年11月01日


Vol.143 2023年11月号

2023年11月01日

11月になりました。
今年も残り2ヶ月です!今年のことは今年のうちに!
それでは、今月も元気に経営サポート隊通信をお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

(『「なぜそれを知っている?」 顧客を驚かせる会社キーエンス』西岡杏 2023.10.16)

今月は日経ビジネス電子版から、キーエンスの記事をお届けしたいと思います。

『2021年冬、工作機械用の部品を手掛けるエーワン精密の山梨工場で、「レーザーマーカー」と呼ばれる装置が故障した。金属や樹脂などにレーザー光を照射して、番号やバーコードなどを刻印するための装置だ。エーワン精密は「コレットチャック」と呼ばれる部品で国内シェア60%を占める最大手。コレットチャックは「旋盤」という工作機械において、加工物や工具を固定する役割を果たす。使用する旋盤や加工物、工具それぞれの種類や大きさに応じてコレットチャックに求められる仕様は異なるため、エーワン精密の生産は「少量多品種」の極みだ。どのコレットチャックがどんな仕様かを見分けるために、レーザーマーカーによる刻印は不可欠だ。

「これまで通り、パナソニック製のレーザーマーカーを購入しよう」。エーワン精密の室田武師専務取締役は既存の生産ラインとの相性を考慮し、同じメーカーのものを選ぶつもりだった。ところが、思いがけない人物が室田氏に声をかけてきた。キーエンスの営業担当者だ。「レーザーマーカーを購入されるご予定ですか」。まるで故障を知っていたかのようなタイミングに、室田氏は驚きを隠せなかった。

種明かしをすれば単純な話だ。この営業担当者は室田氏を訪ねる直前、エーワン精密の別部署でレーザーマーカーの販売を終えていた。その去り際、いつもの習慣でこう尋ねた。「他にお困りの方はいませんか?」。それに対する答えが、営業担当者を隣の建屋に向かわせたのだった。

それからの動きは速かった。数日後に再び来訪。1分ほどで自らレーザーマーカーの準備を整え、室田氏の目の前でデモを披露した。訓練を積んだ口調で機能を紹介し、質問への返事もよどみない。納得した室田氏は、その場で購入を決断した。パナソニックには、故障直後に連絡を入れ、購入意向を伝えていた。だが、パナソニックの営業担当者が電話をかけてきたのはキーエンス製のレーザーマーカーを購入した後だった。

訓練された営業担当者が常に需要を探り続け、チャンスとみたら電光石火で勝負をかける。エーワン精密の山梨工場での受注は、決して偶然ではない。こんなシェア奪取劇が世界中で起きていることを、キーエンスの業績がはっきりと示している。

22年3月期の売上高は過去最高の7552億円で、10年前の4倍近くにまで拡大した。営業利益も過去最高で、売上高に対する営業利益の比率はメーカーとして驚異の55.4%に達する。新型コロナウイルス禍での投資抑制の影響を受けて一時足踏みしたものの、ほぼ右肩上がりで成長を続けてきた。それも、営業利益率が50%前後という高い収益性を維持しながらだ。』

顧客が必要なタイミングでの営業、的確な提案、素早い対応、豊富な製品知識、商品を購入する立場からはいずれもうれしいことばかりですが、販売する立場になれば実は実際に実現することは難しいことばかりです。記事を読んでいて、その営業の鮮やかさに感嘆してしまいましたので、来月もこの記事の残りの部分を紹介したいと思います。


2023年10月の金言

2023年10月02日


Vol.142 2023年10月号

2023年10月02日

早いものでもう10月、今年も残り3ヶ月ですね。
皆さまお元気でお過ごしでしょうか?
今月も元気に経営サポート隊通信をお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

(プレジデントオンライン2023.1.23「トヨタがやる仕事やらない仕事」野地秩嘉)

今月も先月に引き続きトヨタが取り組むカイゼンについてのプレジデントオンラインの記事をご紹介したいと思います。

『「原価低減、生産性向上ばかりを言い募ると、間違える人たちが出てきます。利益主義だと勘違いして、短期的な利益をあげるためのカイゼンに陥りがちなんです。(中略)でも、本当にその会社がよくなるのはやはり長期目標、長期計画にかかっていると思います。TPSもまさに同じで、地盤からしっかりやっていって、体質を強化して、やっと結果が出てくるのがわれわれのやり方じゃないかなと思うんですよ。短期の生産性向上を目当てにすると、結果だけを追ってしまう。それではやっているほうは疲弊しますし、長続きしないんです」

かつて、トヨタ生産方式をまとめた大野耐一さんはこう言っていました。「ザ・トヨタ生産方式はない」TPSは問題解決に使うものではあるが、ひとつのやり方に固定してはいけない。時代と状況によって変わるのが当たり前だ、と。そして、「ザ・モノと情報の流れ図」もありません。こちらもまたどんどん変えていけばいいのです。ですから、ネットに出回っているトヨタの考え方はすべて古いといってもいいでしょう。それくらい、変化しているのがトヨタです。

例えば、生産調査部は2018年から経理の仕事のうち決算業務についてカイゼンを始めたそうです。まず、お客さんとは何かを考えました。経理の場合のお客さん(後工程)とは誰かといえば、決算の数字の説明を聞く人と設定しました。経営陣、IRの関係者、そして何よりも株主です。そうして、モノと情報の流れ図を書いていったら、決算の仕事にはたくさんの標準作業があることがわかりました。3カ月間、調べて770もの標準作業があると分析できました。そのなかで、「どうして、この仕事をするの?」というものが全行程の10パーセントあったそうです。「昔からやっているから」という考えは捨てる。これはトヨタに限りません。経理だけの問題でもありません。毎日、当たり前のようにやっている標準作業の10分の1はすでに時代と状況に合わなくなっているのです。例えば、書類を郵送する、ハンコを押すといった作業はどこの会社でもまだ少しは残っているでしょうけれど、それはもういらないもの、やめるべき仕事になっているのです。この場合、「これくらいは残しておいていいじゃないか?」という考え方はするべきではありません。やめると決めたものはすっぱりやめる。また、昔は先輩たちがやっていたけれど、今はやっていないという標準作業もやめるべき仕事の筆頭です。ただ、これは自分たちだけで判断できる仕事ではありません。トヨタにおける生産調査部のような、他人の目で見てもらわなければなかなか自分の仕事を自分で切ることはできないのです。「自分がやっている仕事はやらなきゃいけない仕事だ、正しい仕事だ」と思っているからこそ、みんなやっているからです。モノと情報の流れ図を作るのは、そういう自分たちの従来の仕事を信じている人たちに客観的な視点からの姿を見せるためです。仕事には前の工程があって、また、後の工程があることをわかってもらいます。そして、自分たちの工程だけが生産性を向上させても、それが全体にどうかかわっているかを目で見てもらわなければ人は納得しないのです。自分が現在、やっている仕事を自分で日々、カイゼンできる人は本当のプロフェッショナルだと思います。

会議でも書類でも打ち合わせでも、トヨタのチームワークを形作っているのは困りごとを他人に相談するところから始まる。役員会でも「今年私が担当する部門ではこれくらい売り上げが上がった」といった話に反応する人はいません。ですから、そういう話は出てきません。会議では困りごとの共有がいちばん最初の議題で、それがなければ15分で終わることがあります。その代わり、困りごとがいくつも出てくれば1時間はきっちりやります。会議では成果、目標達成といったことについて話すことをやめればいいんです。成果や目標を達成したことは資料で回す、あるいは発表すればいいだけです。わざわざみんなで集まった場で、「オレはこんなに頑張った」と話す意味はありません。ただし、成功体験の共有は意味があります。それについても資料で回覧するもしくは、別にそれだけを話す場を設ければいいのです。会議では困りごとを発表し、みんなの知恵で解決の糸口を見つける。それだけで会議のムダを減らすことができます。実際に、トヨタではそうやっているのです。』


-
お試し診断はこちら