2021年12月の金言
2021年12月01日
2021年12月の金言
2021年12月01日
Vol.120 2021年12月号
2021年12月01日
今年も残り1ヶ月となりました。
今月も今年最後の経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!
【河合由紀子のちょっとイイ話】
今月は、電気自動車メーカーのテスラ社が始めた独自の自動車保険について、日経ビジネスオンラインの記事からご紹介したいと思います。
『「今後、保険が重要な部分を占める。自動車事業のバリューの30~40%が保険事業になるだろう」(中略)イーロン・マスクCEOが1年ほど前(2020年)に語っていたのが、自動車保険が自動車メーカーにとって重要になるという未来だ。その一端を見せる保険サービスをテスラが10月にテキサス州で始めた。ドライバーの運転行動を数値化した「安全運転スコア」を基に、月ごとの保険料を算定する。スコアが高いほど安全に運転するドライバーとみなして保険料を安くし、スコアが低ければ保険料を高くする。これまでカリフォルニア州で同種の保険を提供してきた同社だが、安全運転スコアを基に保険料を月ごとに変更するのは初めてとなる。かつての自動車保険は、年齢や運転歴、車種、事故歴などを基にした等級で「保険料がほぼ決まっていた」。そこに運転行動の情報を盛り込もうとしたのが「テレマティクス保険」だ。一部の保険会社は、車内に設置する専用の装置を貸し出したりスマホアプリを提供したりして運転行動を把握する取り組みを始めている。ただし、「従来の等級で決めた保険料が基本で、割引に利用するなど、まだ“おまけ”の範ちゅうから抜け出せていない」のが現状だ。
テスラの新型保険は、年齢や性別、事故歴といったドライバーの属性情報は利用せずに、安全運転スコアだけで保険料を算定する点が新しい。車両の詳細な走行データにアクセスできる自動車メーカーならではの自動車保険と言える。テスラが安全運転スコアの算出に用いる評価項目は5つある。(1)急ブレーキをかけた頻度を示す「Hard Braking」、(2)急激なハンドル操作をした頻度を示す「Aggressive Turning」、(3)前方衝突警告が出た頻度を示す「Forward Collision Warnings」、(4)前方車両と十分な車間距離を取らなかった頻度を示す「Unsafe Following」、(5)運転支援機能「オートパイロット」が解除された回数を示す「Forced Autopilot Disengagement」だ。
車載端末やスマホを使うこれまでのテレマティクス保険は、内蔵するモーションセンサーで急激な加減速や速度超過などの情報を取得することが多い。テスラの新型保険は、車載カメラで撮影した映像などを基に車載コンピューターが検知・判断した情報も生かしているのがポイントだ。安全運転を促す仕掛けも用意した。テスラ車のドライバー向けスマホアプリから安全運転スコアを確認できるようにしている。このアプリでは、いつ、どこに向かったときの運転に問題があったかが分かるほか、5つの評価項目のどの数値を改善すれば安全運転スコアを高めやすいかをシミュレーションする機能も備える。アプリ内には5項目の数値を高めるコツも記載されている。テスラ車のドライバー向けスマホアプリで安全運転スコアと各評価項目の値を確認できる。テスラは、新型保険サービスを始める前から安全運転スコアを算出していた。テスラが開発した新しい運転支援機能を先行提供するユーザーを選定する基準として利用してきた。新機能の先行提供に加えて新たに保険料の引き下げという「特典」を与えることで、ドライバーにさらなる安全運転を促そうとしている。21年7~9月期の決算発表会でテスラは、既に約15万台が安全運転スコアを利用しており、このスコアの利用者は非利用者に比べて衝突事故を起こす確率が3割ほど低いと説明している。もっとも、テスラが用意した評価項目と安全運転がイコールであるかどうかは別の話だ。ドライバーがスコアを上げようと思うあまり危険を伴う操作をしてしまう可能性もある。テスラが定めたアルゴリズムにドライバーが監視される状態を真の安全運転につなげるためにも、テスラは安全運転スコアの基準を慎重に決めていく必要がある。』
この記事を読んで、IOTの活用により、消費者一人ひとりに商品がカスタマイズされる時代がすぐそこまで来ていると感じました。
今年も大変お世話になりました。皆様良い年をお迎えください。
来年もよろしくお願いいたします!!
Vol.119 2021年11月号
2021年11月01日
今年も残り2ヶ月となりました。
今月も経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!
【河合由紀子のちょっとイイ話】
今月は日経ビジネスオンラインの記事から、AI翻訳機「ポケトーク」などで知られる
東証一部上場のソースネクスト会長松田憲幸氏のインタビュー記事を一部ご紹介したいと思います。
『―2012年に米シリコンバレーに移住して9年。そんな松田さんの目に、コロナ下の日本と米国の違いはどう映りますか。
松田:コロナ前も今も、アメリカ人は楽観的で笑顔が多い。日本に帰るとコロナの状況が永遠に良くならないのではないかと感じられるくらい、暗いニュースばかりが流れている。だから私は、日本の家にテレビは置いていません。アメリカの株価が上がり続けているのも、「今よりもっといい未来が来る」とみんなが考えているからです。アメリカにいると、何でも実現できるような気がしてくる。私がアメリカに来て、一番学んだのはその精神です。周りの普通の人がどんどん成功していくのを見ていると、自分もできるんじゃないかと思えてくるのです。
―なぜ違うのでしょう。
松田:子供の教育では、日本人はみんなと同じにするのがいいという考え方を大切にしますが、アメリカ人はいかに他者と差異化するかという考え方を教えます。「なぜあなたはこれができないの」と追及はしない。それぞれが、それぞれの夢を持っている。大きな夢を公言してもばかにされません。「(フェイスブック創業者の)マーク・ザッカーバーグみたいになる」とアメリカ人は平気で言いますが、日本でそんなことを言ったら「無理に決まっているじゃないか」と笑われるでしょう。また、米国人は「Congratulations(コングラチュレーション)」という言葉をよく使います。例えば初対面の人にソースネクストの事業の変遷を説明すると、「IPO(新規株式公開)おめでとう」と言われる。日本ではIPOをした直後なら「上場おめでとう」と言うけれど、10年以上も前のIPOのことを今さらたたえないですよね。でも、アメリカでは称賛される。「Congratulations」の裏には、「いずれ自分もそうなってみせます」という気持ちが確実にありますね。アメリカは広いので一概にはくくれませんが、ここシリコンバレーでは、物事に限界はないとみんなが思っています。
―松田さんも限界を取り外すことができましたか。
松田:ええ。やはり、身近な会社がどんどん大きくなりますからね。料理の宅配を手がけるドアダッシュの創業者トニー・シューと知り合った13年、彼は自分で配達もしていました。私の家に配達に来ると、必ず後で「今日利用してみて、どう思う?」とメールが来る。「日本食レストランがないよね」と言うと、いつの間にかちゃんと入っている。そんなやり取りをしているうち、あれよあれよという間に何千店、何万店の飲食店と提携し、昨年株式上場して時価総額が6兆円にもなりました。そんな例が山ほどあります。その辺を歩いている人がいきなり1兆円企業をつくってしまうのですから、ソースネクストも、せめて1000億円企業になってもおかしくない。そう思えるようになって17年12月にAI通訳機「ポケトーク」を発売したら、時価総額が1000億円を突破した。「俺にもできるんじゃないか」と思うことはやはりすごく重要ですよね。』
ポケトークは数年前にある社長様からご紹介いただき、実際に使ってみたこともあります。驚いたのは、オンラインで使うための通信費用が2年間無料で使えるようになっていることです。これはWi-Fiに繋いだりスマホにデザリングする必要がなく、海外にそれだけ持って行っても使えるということです。定額の支払いが発生すれば、試してみることを躊躇する人も多いのではないかと思うのですが、その障壁をなくすことにより手軽に始められ、その良さがわかってもらえれば継続して使ってもらえるというのが狙いだと思います。翻訳機能は素晴らしく、さすがにコテコテの関西弁は翻訳してくれませんが、それは人間の通訳でも同じことだと思いますので、かなりの精度だと感じました。インタビューの中で松田氏が答えているように、アメリカでは、できないことよりもできること、悪い面より良い面にフォーカスを当てる人が多いように思います。それは社会全体の空気や小さなころからそのような教育を受けているからだと感じます。メリットもデメリットもあるとは思いますが、イノベーションを起こすには良い風土だと思います。
Vol.118 2021年10月号
2021年10月01日
10月の声を聞くともう今年も残りわずかですね。
今月も経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!
【河合由紀子のちょっとイイ話】
コロナ禍の中、飲食業、観光業、小売業等、人と接触する業種の苦戦が続いていますが、『Amazonの百貨店進出計画、そのシナリオと勝算は』という記事を日経電子版(日経クロストレンド)で見つけましたので、ご紹介したいと思います。(抜粋・編集)
『「アマゾンが百貨店のような大規模小売店を計画している」米ウォール・ストリート・ジャーナルは2021年8月19日、こうした見出しで、この件に詳しい複数の関係者の話として第一報を報じた。最初の店舗は西海岸のカリフォルニア州か中西部のオハイオ州が有力。想定される床面積は3万平方フィートと、10万平方フィート程度が一般的な百貨店よりは狭めだという。ノードストロームなどの百貨店大手はショッピングモールなどで小型店も展開しており、そうした店舗と競合するとみられている。また、ウォルマートやターゲットなどの総合スーパーとは規模が同等で、衣料品や家電などで競合する可能性がありそうだ。
アマゾンの今回の動きには3つの疑問がある。まず、なぜ今百貨店というリアル店舗かという点だ。米国では新型コロナウイルスの感染拡大によって、小売業が都市部で店舗を撤退させている動きが目立つ。実際には、感染拡大の前の19年後半から大型小売店の景況が悪くなっており、そこにコロナ禍が直撃した格好だ。小売店のなかでも、特に百貨店や大規模なアパレルがこの2~3年、相次いで破綻している。アマゾンの猛攻に陥落したといわれるが、各社の企業努力が足りなかった面もある。皮肉にも、都市部の一等地の店舗がこれまでになく確保しやすくなっている。
2つ目の疑問は、アマゾンはいったい何を売ろうとしているのかだ。やはりアマゾンがネット販売で駆逐した、アパレルを販売するのだろう。特に高級品がターゲットとみられる。ウォール・ストリート・ジャーナルは、アマゾンが2年前にアパレルブランドにアプローチしていると報じている。高級アパレルは、店員によるコーディネートの助言、サイズの調整などが必要な商材である。アマゾンはAIカメラによるコーディネートの提案サービスを提供していたが、20年に終了。アマゾンのアプリでモデルの写真などから似た洋服を探す機能などを引き続き提供している。ただ顧客の要求水準が高い高級アパレルの需要を刈り取れないでいるのだろう。またアマゾンは既に、ECで顧客の評価が4つ星以上の商品を集めた「Amazon 4-star」のリアル店舗を、米国内で約30店舗展開している。さらに5店舗が開店予定だ。今後進出が予想される百貨店には高評価の商品の中でも、家電など「体験」が必要なものについて陳列していく可能性が高い。それ自体、店舗の集客にプラスに働く。米国では21年に入って、大手家電量販店のフライズ・エレクトロニクスが全店舗を閉鎖するなど、家電の実物を見て触ることができる場所が減っている。衣料品や服飾品、家電以外に、靴、スポーツ用品、キャンプ用品などが考えられる。最近ネットで力を入れている自動車のリアル販売も可能性がある。
最後の疑問として、既存サービスや商材との連携はあるのかであるが、本業であるECのサービス拠点としての機能が考えられる。20年にカリフォルニア州のロサンゼルスなどで展開を始めた大型生鮮食料品スーパー「Amazon Fresh」を見れば一目瞭然だ。21年3月に、ロサンゼルス近郊のロングビーチ市に開店したAmazon Freshの店舗は、ショッピングセンター内の一角にある。床面積は約4万平方フィートと比較的広い。会員制スーパーのコストコの半分から3分の1の床面積だ。同店の入り口右側には、サービスカウンターがあり、アマゾンのECで購入した商品を返品することができる。ここまで持ってくれば、返品にかかる送料や手数料は基本的に無料だ。また、商品をピックアップすることもできる。ECを利用している顧客が立ち寄って、食料品や生活必需品をついで買いすることも多いだろう。
アマゾンが百貨店で狙うとみられる高級アパレルの市場。生き残っているノードストロームやメーシーズなどの百貨店にとっては無視できない動きだ。ターゲットのように生鮮食料品がメインでない大型スーパーも同様だ。アパレルなどの高級ブランドはアマゾンとどう付き合っていくのか、難しい判断が求められる。』
Amazonは、対面して商品を売るという一見従来の小売業と同じことを始めようとしているように見えて、発想の起点が違うことにより、考え方や仕組みが全く異なる新しい小売業を作ろうとしていると感じました。皆さんはどうお感じになりますか?
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