Vol.68 2017年8月号
2017年08月01日
こんにちは!!毎日暑い日が続きますが、
皆さまお元気でお過ごしでしょうか?
今月も経営サポート隊通信を
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【河合由紀子のちょっとイイ話】
(『戦略経営論』ガース・サローナ/アンドレア・シェパード/ジョエル・ポドルニー著 石倉洋子訳 東洋経済新報社)
企業経営において、「戦略」という言葉はしばしば使われますし、戦略のない行き当たりばったりの経営をしていては、社会構造が複雑化している今日において、生き残ることができないといわれています。
では、戦略はどのように立てればよいのでしょうか?と聞かれて、明確に答えることができる人はどれくらいいるでしょうか?答えることができたとしても、それは人によって違うかもしれません。今回は、戦略の基本的な考え方について書かれた『戦略経営論』の中から、戦略を立てるために不可欠な「企業の目標」に関する考え方にスポットを当てて、ご紹介したいと思います。
(以下抜粋)「企業の業績を測定する指標には、マーケット・シェア、評判、イノベーション、ブランド・イメージ、収益性、社員の満足度などいろいろある。戦略は業績のある特定の側面に働きかけることが多いので、戦略を立案し、企業の業績を改善しようとするマネージャーは、現在競争している市場で圧倒的な地位を占めること、メーカーとして最高の品質を達成すること、業界で最も革新的な企業になることなど、どの側面を改善しようとするのか、目標を明確にしなくてはならない。たとえばGEでは、ジャック・ウェルチの指揮のもと、競争する市場すべてにおいて1位か2位を占めることが目標として掲げられた。しかし、「業界で1位か2位になる」とか「最も革新的である」という目標は、企業の最終目標とはなりえない。営利企業の取締役は、自分の投資から最大のリターンを得たいと望む株主から信任を受けている存在であり、営利企業の最終目標は収益性改善以外にはない。企業が市場を独占したり、最高級の製品を製造したりすれば、利潤を最大化する一助にはなるが、これを企業の最終目標と混同してはならない。(中略)
利潤の最大化は、ほとんどの営利企業の最終目標だが、実際には、次の理由でこの目標から離れることもある。一つは、社会的目標である。企業の社会的目標が達成されれば、金銭的なリターンをある程度犠牲にしてもよいと考えて投資する株主もいる。アウトドア・ハイキングや登山、キャンピング用品分野で環境にやさしい商品を製造・販売するカリフォルニアのパタゴニアの収益性は、実際、環境問題への対応に必要な活動のため、ある程度影響を受ける。
二つ目は、マネージャーと株主の目標のずれである。マネージャーは、株主の利益を最大化するよりも、自分自身の利益を最大化しようと行動する。自分の昇進のために、長期的な収益性を犠牲にして短期的な収益性を高めようと努めたり、自分の権力や影響力を増すために、組織全体の業績を犠牲にしたりする可能性もある。」
大企業の場合は株主と経営者が異なることが多いため、株主は利益の最大化を求め、経営者(マネージャー)は自分自身の利益を最大化するよう行動すると考えられます。この点は必ずしも中小企業にも当てはまるとは言えませんが、目標を設定する際に「利益を上げる」ということは大企業であれ中小企業であれ当然意識しなければならないことだといえます。大企業は株主のため、では中小企業は何のために利益を上げなければならないのでしょうか?その答えは、私は長く存在するためだと考えています。なぜ利益を上げなければならないのか、利益を上げるために何をするのか、組織全体に浸透することが、経営者の最も大切な仕事なのではないでしょうか。