Vol.47 2015年11月号
2015年11月09日
こんにちは!
11月になりました。
今年も残り2ヶ月です。
今年の締めくくりと来年に向けて
頑張っていきましょう!
【河合由紀子のちょっとイイ話】
10月から始まりましたTBS日曜9時から放送されていますドラマ「下町ロケット」が話題になっています。以前同じTBSのドラマ「半沢直樹」が大ヒットしましたが、原作は同じ池井戸潤氏です。ご覧になっている方も多いのではないでしょうか。
東京の下町の中小企業(佃製作所)を継いだ、元ロケットエンジンの開発者である社長(阿部寛)が、様々な困難を乗り越えながら進んでいくという物語です。いわれのない特許権侵害で訴えられ、巨額の賠償金を請求され、それを知った取引先からは取引を中止され、資金繰りが悪化し、銀行からの融資も受けられず…と、ひとつのことをきっかけに、全てが悪い方へ動き出します。
「特許を取っているからうちは大丈夫」とか「中小企業だから多少の法令違反は仕方ない」といって、普段あまり気にしていなかったことから屋台骨が揺らいでしまうということは実はよくあります。食品の偽装表示の問題、産業廃棄物処理の問題、サービス残業の問題などなど、普段は気に留めず常態化してしまっている身近なことの中に、実はひやっとすることは潜んでいます。そして、ドラマ「下町ロケット」に描かれているように、ちょっとしたほころびから会社が倒産の危機に追い込まれることはあり得る話なのです。
ドラマの中で、佃製作所が特許権侵害で訴えられたのを知ったメインバンクが手を引こうとします。どんなに説明しても、お願いしても追加融資はしないと一点張りです。ところが、一転佃製作所の優位な条件で解決したことが分かると手のひらを返したように、取引の再開をお願いしに早速会社にやってきます。しかし、社長は絶対取引しないと断ります。視聴者としてはスカッとするところです。
では、現実の世界ではどうでしょうか?佃製作所はピンチを上手く乗り切れました。優秀な弁護士に巡り合うことができ、事実として特許権の侵害はなかったということが証明されたためです。このように上手くいく場合もあれば上手くいかない場合もあります。上手くいかなかったら佃製作所はどうなっていたでしょうか?買収されていた、あるいは倒産してしまっていたでしょう。そうなっていれば銀行の判断は間違っていなかったとなります。銀行マンの仕事は、良い企業と取引をして利益を銀行にもたらし、銀行の損失を防ぐのが仕事です。
ですから、ことが起こる前に、しっかりと問題が起こる可能性を把握し、中小企業といえども未然にできる防止策はとっておかなければならないのです。また、コストなどの面からすぐにはリスクを防止することができなくても、まずはリスクを知っておくことが重要なのです。