経営サポート隊通信 | 大阪の経営支援ならプラス・パートナー
経営サポート隊通信
経営サポート隊通信

Vol.161 2025年5月号

2025年05月01日

5月になりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!
【河合由紀子のちょっとイイ話】

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

今月も先月に引き続き、明治29年創業の「あずきバー」で有名な三重県津市に本社のある井村屋グループ会長中島伸子氏のインタビューをご紹介します。

『北陸支店長を経て、2001年に49歳で関東支店の副支店長となり、東京へ単身赴任しました。2年後に支店長となったのですが、前任の支店長は取締役の男性だったんですよ。役員でない女性の私が就くんですから、いま思えば、このギャップをどう埋めるかをもっと考えなきゃいけなかったんですけど、業績はジリ貧になってしまいました。どうにか打開しようと上野動物園のパンダ人気に目をつけ、中華まんをパンダの顔にしたパンダまん、これを上野公園の売店で売ろうと提案したんです。年上の営業課長たちは「いいですね」「さすが女性のアイデアです」と言うものの、一向に商談に行かない。それで若い営業マンに聞いてみたら、「僕らは毎月一億、二億の予算を持っています。一軒ずつ商品を売り歩いている時間はありません。だから、田舎から来た支店長は嫌なんですよね」って言うんですよ。これにはさすがに弱りましたね。皆が私のことをどう思っているのか知りたくて、支店の営業員約40名にアンケートを実施しました。①はいないほうがいい、②はどちらかというといないほうがいい、③は普通、④は少しは役に立つ、⑤は役に立つ。そうしたら全員が①から③なんですよ。無記名投票にも拘わらず、わざわざ名前を書いて①をつけてくる人もいて、非常にショックでした。

誰も私のことを信用していないんだ。会社の役に立たないんだったらいないほうがいいんじゃないか。一週間くらい悩んだ末、上司である専務取締役営業本部長の浅田剛夫に辞表を出しました。すると浅田は「どういうことや」と。アンケート結果が散々で自信を失くし、支店長としての器じゃないと感じましたと打ち明けたら、辞表を突き返してこう言ったんです。「何を言っとるんだ。評価はお客様がしてくれるものだ。考え方が間違ってる。そんなアンケートを取る暇があったら営業先に聞いてきなさい」その時は泣く泣く階段を下りて自席に戻りましたけど、よく考えたら全くその通りで、私が間違っていました。一からやり直そうと決め、営業マンと一緒に毎日得意先を回り、徐々に結果を出していったことで、社員からも信用を得ることができたんです。もしあの時、浅田に「俺が全員を叱ってやろう」と言われていたら、きっと自分に甘くなって成長も止まっていたし、なおさら会社の役に立たなくなっていたでしょうね。だから、厳しくしかってくれてよかったなと、その時から勝手に、この人をメンターにしてもっと鍛えてもらおうと思ったんです。81歳のいまも厳しいですが、すごく尊敬していますし、最も薫陶を受けた人です。(中略)

日頃よく社員に伝えているのは、「一人の百歩よりも百人の一歩」、これは私が社長になった2019年からずっと言い続けています。一人のスーパーマンが百歩走っても、どこかで息切れすると思うんですよね。それよりも百人がそれぞれの知恵を持ち寄って一歩ずつ進む組織の方が強いし、継続性もある。チームの心を一つにすることが大事という思いを込めているんです。(中略)今年はさらに一歩進めて、「プロの一人、チーム百人の掛け算」という経営メッセージを4月1日の朝礼で打ち出しました。皆さん、チームで仕事をするということをよく捉えて、現場で実行していただいている。これからは一人ひとりがさらにプロフェッショナルを磨き、お互いに共有や交換をすることで、チーム力に掛け算がうまれていくと伝えたんです。私の信条は二つありまして、一つは「夢はでっかく、根は深く、葉っぱ広し」もう一つは「自分の人生のハンドルは自分しか握れないし、扉の鍵を開けられるのは自分だけ」です。(中略)学べば学ぶほど根を深く張ることができる。人生のどんな壁でも越えられる力を人間は持っている。生きていること自体が素晴らしい。ですから、自信と誇りを持って、希望を抱いて生き抜いていくことが大事だと思います。』

いかがでしたか?波乱万丈の人生ですが、ご自身の信条に基づいて、つらいことがあるたびに自ら気づき、変わっていかれた姿が印象的でした。


-
お試し診断はこちら