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経営サポート隊通信
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Vol.112 2021年4月号

2021年04月01日

皆様お元気でお過ごしでしょうか。
4月になりました。
今月も経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】(致知2021年1月号より)
今月はユニクロの会長兼社長の柳井正さんと元サッカー日本代表監督で現在はFC今治のオーナーの岡田武史さんの「運命を開くリーダーの条件」という対談から抜粋します。

岡田 柳井さんはずっと増収増益を維持してこられて、日本の多くの経営者に範を示してこられましたね。
柳井 いや、それは結果であって、僕はずっと失敗してきました。勝ち負けでいえば一勝九敗くらいだといつも言っているんですよ。一番の逆境は、フリースブームで成功した後でした。あれは49歳の時で、50歳を過ぎたら引退しようと考えて、社長を退きました。だけどそこで会社が満足して安定志向に入ってしまったんです。それが一番危険でね。企業に安定なんかないんですよ。だから僕は社長に返り咲いたのです。一度バトンタッチしたのに返り咲くというのは恥ずかしいですよ。創業者のエゴだとさんざん批判されましたけど、仕方がなかった。僕は、成長しない企業、収益がアップしない企業は、そこに関わっている人が全員不幸になるのでダメだと思っていますからね。    (中略)
岡田 たとえ負けても、この負けは俺に必要なんだと受け止めたらファイトが湧いてきて、すぐ立ち上がれるんです。僕は色紙を頼まれるといつも「人間万事塞翁が馬」って書くんですけど、それはこれまでのサッカー人生を振り返っての実感なんです。フランスワールドカップで初めて日本代表の監督になったけれども予選落ちして叩かれて、コンサドーレ札幌の監督になって一年目は勝てなくてボロカスに言われ、(中略)僕のサッカー人生は浮き沈みの連続でした。それでもここまでやってこられたのは、すべては自分に必要なことだと考え、受け止めてきたからだと思うんです。
柳井 本当に岡田さんのおっしゃる通りで、人生は一直線にうまくいくことなんかありません。それでもトップが絶対これをやろうと思わない限り、それは決して実現することはないでしょう。運命をひらくということは、自分がどこに行きたいかを明確にすることだと思います。あなたはどういう人生を歩みたいのか、どういう経営をしたいのか、自分の胸に問いかけることですよ。そして、自分の思い定めた行き先が会社と同じ方向を向いていることが一番幸せなんじゃないでしょうか。失敗する人は、あっちに行ったりこっちに行ったりするんです。だから僕はいまの商売をずっと続けて、行きつくところまで行こうと肚を括っています。その姿勢をブレることなく貫いていたら、たとえ大きな壁に突き当たっても、必ず協力してくれる人が現れて、それを乗り越えることができるものなんですよ。あいつがあれほど努力しているのだったら協力してやろうと。
岡田 そう思ってもらうには、平素からリスクを冒してチャレンジしていないとダメでしょうね。

経営とスポーツでは全く異なる世界のように感じますが、どちらも組織で目標を達成するという意味では同じで、お二人とも失敗を重ねながらも、前向きに目標に向かって取り組んでいるから、今があるということが感じられる対談です。


Vol.111 2021年3月号

2021年03月01日

皆様お元気でお過ごしでしょうか。
3月になりました。
今月も経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!

【河合由紀子のちょっとイイ話】
今月は、ハーバード・ビジネス・スクールの教授であり、「イノベーションのジレンマ」で有名なクレイトン・M・クリステンセンの著書「ジョブ理論」から、一部抜粋してみたいと思います。ジョブ理論とは、簡単に言うと、商品やサービスを開発したり作り直したりする際に用いる考え方で、顧客は商品やサービスを顧客のジョブ(問題や不満など)を片付けるために取り入れる、つまり購入し使用する、というものです。
『世界には洪水のようにデータがあふれているのに、偉大なイノベーターたちを成功に導いたものが、片付けるべきジョブの直観だったと聞くと驚く人もいるかもしれない。ソニーの創業者の盛田昭夫は後進に対し、市場調査に頼るのではなく「人々の生活を注意深く観察して彼らの望みを直観し、それに従って進む」ようにと助言した。世界中にブームを巻き起こしたポータブル音楽カセットプレイヤー〈ウォークマン〉は、市場調査の結果が思わしくなく、一時的に発売が保留にされたことがあった。録音機能がないうえ、イヤホンのわずらわしさを感じる人が多いと思われたからだ。だが盛田は自分の直観を信じ、マーケティング部門の反対を押し切った。ウォークマンは、3億3000万台以上を売り上げ、個人用の携帯音楽プレイヤーという新しい文化を世にもたらした。
自分の生活のなかにある片付けるべきジョブは、イノベーションの種が眠る肥沃な土地だ。人の生活は雄弁に語る。あなたにとって重要なことは、他の人にとってもおそらく重要だ。』
商品やサービスは顧客目線で開発しなければ売れないことはわかっていますが、このジョブ理論はもっと踏み込んだ考え方です。例えば、一緒に暮らす家族の数が少なくなった人向けに、小さめの住宅を販売する会社の例が挙げられています。市場はあるのになかなか売れないため、ショールームの工夫をしたり、たくさんのオプションをつけて顧客が自分好みにアレンジできるようにしますが、それでも売れません。ショールームに来た人に話をよく聞いてみると、ダイニングテーブルをどうするかが購入を躊躇させる鍵になっていたことがわかります。ダイニングテーブルがなぜ問題だったのか、それは単なる家具ではなく、家族が集い、子供が小さいころ宿題をした思い出の場所だったから。そのことに気づいてから、この住宅販売会社は自分たちのビジネスを「新しい家を建てて売るビジネス」から「顧客の人生を移動させるビジネス」ととらえるようになります。そして、ダイニングテーブルを置けるスペースを確保するために、設計変更、引っ越しサービス、家具の保管サービス、内装バリエーションを3つのパターンにして選択する負担を減らすなどの工夫をし、それにより大きな成長を遂げました。
顧客のジョブは何かを考えることにより、これまで見えていなかった、そして顧客も気づいていなかったニーズに気づくことができます。一度、顧客はわが社の商品をどのようなジョブを解決するために取り入れたのか、考えてみると何か違うことが見えてくるかもしれません。


Vol.110 2021年2月号

2021年02月01日

皆様お元気でお過ごしでしょうか。
今月も経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!

【河合由紀子のちょっとイイ話】
アメリカの大統領がトランプ氏からバイデン氏になりました。
アメリカ国内ではそれを喜ぶ人たちと、いまだに選挙結果を認められずその違法性を訴える人たちとの間に大きな分断があるように感じられます。自由を大切にするアメリカですが、人種差別、貧富の差など根深い問題は存在し、完全に解決することは到底難しいと思われます。そして、自由を大切にする国民性は、コロナウイルスの拡大をもたらしました。
一方、中国では人々の不満には基本的に耳を貸さず、政府の決定を国民に従わせることで国を統制し、民族問題、貧富の差などはあるものの、公式発表ではコロナウイルスの終息に成功しています。
現在、アメリカのメーカーはほとんどの製品を国内で製造せず、企画、管理のみを行い、実際のモノの製造は中国や他の人件費の低い国で行っています。このような状況が長年続いたことにより、中国は製品を生産する技術を獲得し、富める国となりました。一方で、アメリカの消費者は決して安くない商品の品質が悪くても、我慢して使っています。
人は、上り調子の時には、よく考えられた組織や大した戦略がなくても、力を一つにして頑張れるといったことが、『失敗の本質(中公文庫)』という日本軍の組織論的研究をまとめた本に書いてありました。戦後の日本ではどん底から這い上がるために、国民が戦勝国に追いつけ追い越せと一丸となって復興に取り組みました。中国はもはや発展途上国であるとは言えませんが、その他まだまだ発展途上国と呼ばれる国は数多くあります。それらの国では人口の増加と共に経済の発展も目覚ましく、先進国が自国に製造拠点を持たず、そういった国に製造拠点を持つことにより、経済の発展はますます進むでしょう。
アメリカも、日本も、そして中国も、時代や状況、方法の差はありますが、困難な状況を乗り越え発展を遂げてきました。そして、その後、これから、私たちには何が必要なのでしょうか。上り調子の勢いが弱まり、他の勢いのある国に追い抜かれた後、何を目標とし、どのような組織で、戦略で生きていけばよいのでしょうか。
バイデン大統領は就任演説で何度も“unite”という言葉を使いました。ひとつになる、融合する、団結するという意味の動詞です。国でも、企業でも、スポーツチームでも、家族でも、人が集まれば組織です。その組織が団結できる目標設定が最も重要なことなのではないでしょうか。そして、時代にあった柔軟な組織体制を整えることも、組織を強くするために必要なことだと思います。
アメリカの大統領が交代したことにより、アメリカは、そして世界はどうなるのか。バイデン大統領の就任演説を見ながら考えを巡らせてみました。


Vol.109 2021年1月号

2021年01月05日

新年あけましておめでとうございます。
本年も皆様のお役に立てるよう一同精進してまいります。
よろしくお願いいたします!

【河合由紀子のちょっとイイ話】
昨年は新型コロナウイルスにより多くの変化が強いられた年でした。
皆様の事業や生活への影響も大きかったのではないでしょうか。
人の移動や集まりが制限され、外食、旅行、観劇やコンサート、スポーツ観戦等のイベントなど、必要不可欠ではないけれども人の心に楽しみや安らぎをもたらすものが、中止されたり延期されたりしました。短期間であれば我慢できるかもしれませんが、その期間が長くなると、ストレスが溜まり、健康にも悪影響が出ることも心配されます。
そのようなことを考えていると、これらの楽しみは、実は古代から人間が健康に生きるために取り入れていたものなのだろうな、という考えが頭に浮かびました。そして、古代と現在では比べようもないくらい科学技術は発達していますが、人間は根本的には大きく変わらないのだなあ、とつくづく実感しました。
ワクチンや治療薬の開発と浸透により、いずれ今の状況からは抜け出すことはできると思います。そして今まであった制限がなくなったとき、以前の状態に戻るものと戻らないものがあると思います。
たとえば、食品の買い物の仕方を考えてみます。以前は頻繁にスーパーマーケットで買い物をしていたけれど、なるべくスーパーに行く回数を減らすために、まとめ買いをする習慣がついた、あるいはネットスーパーを利用するようになったり農家から直接取り寄せるようになったという人が増えたかもしれません。すると、ネットスーパーの便利さや農家から取り寄せた商品の品質の良さがわかり、もう、近所のスーパーマーケットを頻繁に利用しなくなるかもしれません。
旅行を考えてみます。以前はパッケージツアーを利用していたけれど、多くの人と行動を共にするのは心配だから、自動車で移動して貸別荘に泊まってみよう。食事も地元の美味しい食材を買ってきて自分たちで料理してみよう。そのような旅行をしてみた人は、地元の人しか知らない場所や食材を発見することができるかもしれません。そしてその体験を気に入った人は、自分たちで調べる楽しみも知り、パッケージツアーの利用はしなくなるかもしれません。
インターネットの発達により、玉石混交ではありますが情報は手に入りやすくなり、消費者が直接商品やサービスを提供しているところに接触できるようになりました。そして、パンデミックにより異なる生活様式を強いられた消費者は、多少の差はあれ、何らかの以前では考えたこともなかった行動を経験しています。これらが組み合わさったとき、流通に変化が生じるかもしれません。
パンデミックによりもたらされた変化と、その変化が終息後も続くものなのか続かないものなのかを見極めることが、今後の方向性を考える際のヒントになるのではないでしょうか。


Vol.108 2020年12月号

2020年12月01日

皆様いかがお過ごしでしょうか?
今月も経営サポート隊通信を
元気にお届け致します!

【河合由紀子のちょっとイイ話】
2020年を振り返ると、昨年末ごろから感染拡大が始まった新型コロナウイルスの影響が、世界的に人々の暮らし方を変え、事業のあり方を変え、すべてのものを根底から変えるようなインパクトを与えた年だったと言えると思います。
過去にさかのぼれば、ペストやスペイン風邪など細菌やウイルスの世界的なパンデミックが何度もありました。そのたびに多くの犠牲者を出し、そして社会の枠組みが大きく変わりました。
例えば、14世紀のペストのヨーロッパでの大流行は、当時のヨーロッパの人口の4分の1から3分の1を失ったとされています。それと同時に、ペストの脅威を防ぐことができず、また当時腐敗していた教会の権威が失われ、人口の減少により賃金の上昇をもたらし、封建的な身分制度が実質的に解体されたとされています。
新型コロナウイルスの終息については、いまだ先の見えない状況が続いています。現在、治療薬やワクチンの開発が進められていますが、ウイルスの変化や安全面などを考えると、すぐに実用化するのは難しい気もします(専門家ではありませんので正確なことはわかりませんが)。スペイン風邪は免疫を持つ人が増えたことにより終息を迎えたようですが、それを待つとなるとどれくらい今の状態が続くのか、とネガティブな気持ちになってしまします。しかし、終わりのないパンデミックは歴史を見てもありませんので、今を生きることと今後に目を向けてみたいと思います。
まず、人が生きている限り必要なモノやサービスは変わりません。ただ、優先順位が変わったり、提供の仕方が変わったり、流通方法が変わったり、という仕組みの部分での変化は考えられると思います。また、新型コロナウイルスに関係なく、外国からの労働者を受け入れない限り、日本では今後労働人口は激減しますので、労働集約型の産業では人の確保をどうするか、あるいは機械化を考える、別の得意分野を伸ばして成長させる方法を考える、といったことが必要になってくると思われます。世界的に見れば、日本の食料自給率の低さも心配なところです。
どのような未来が訪れるかは誰にも正確にはわかりませんが、今わかっていることから未来を予測して準備することはできます。新型コロナウイルスの世界的流行、人口の変動、国際情勢、様々なことが大きく変わるまさに潮目の真っ只中にいると感じた一年でした。
2021年はどんな年になるでしょうか。どんな年にしたいですか。この世界に少しでも良いことが増えますように。皆様の健康とご多幸をお祈りしています。

今年も大変お世話になりました。来年も何卒よろしくお願いいたします


Vol.107 2020年11月号

2020年11月02日

11月になりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
今月も経営サポート隊通信を元気にお届け致します!

【河合由紀子のちょっとイイ話】(致知2020年1月号より抜粋、編集)
今月は、豊田紡績の創業者でありトヨタの創業者豊田喜一郎の父でもある豊田佐吉の話を抜粋して、ご紹介します。
『大工の父と機織りの内職をして生計を支えていた母のもとで育った佐吉は、苦労している母を助けたいと、自動織機の発明に取り組みます。研究資金集めに苦労した佐吉でしたが、協力者を得て明治28年、29歳の時に日本初の蒸気で動く力織機を発明します。しかし、明治39年大切な特許を手放さなければならない事態に陥ります。そこから懸命に資金を集め、明治44年には紡績工場を立ち上げ、工場で得た利益を織機の発明に充てていきます。さらに開発した自動織機の性能を確認するために良質な綿糸の供給が必要になり、紡績工場も建設します。そして、大正13年58歳にしてG型自動織機を完成させました。G型自動織機は生産性や品質で世界一の画期的な織機でした。
佐吉の人生は、特許を失う最悪の逆境から大きく反転し、隆盛の軌道に乗りました。明治44年の紡績工場の立ち上げには大きな困難が伴いましたが、その決断があったからこそ、大きな成功を手にすることができたのです。その時こそが真の「自力経営」の始まりであったと佐吉は述懐しています。
しかし、佐吉の自立自助の精神は、若き日に発明家を志した時からブレることなく貫かれてきた人生の基本姿勢であったことは、彼が残した言葉からも明らかです。
「男は四の五のいらぬことを考える必要はない。志を立てた以上、迷わず一本の太い仕事をすればよい」「仕事は人が探してくれるものではなく、自分で身につけるべきものだ。職は人がつくってくれるものではなく、自分自身でこしらえるべきものだ。それがその人にとっての、本当の仕事となり、職業となる。とにかくその心掛けさえあれば、仕事とか職業とかは無限にあるといっていい。いつの時代でも新しいことは山ほどある」「わしは他人よりよけいに創造的知能に恵まれているわけではない。すべて努力の結晶だ。世間はその努力を買ってくれないで『天才だ』と言って片付けてしまう。私には遺憾千万」「わしの今日があるのは、天の心というものだ。それなら、こちらも社会へ奉仕せにゃいかん道理だ。誠実というその字を見ろ。言うことを成せという言葉なんだよ」』
トヨタグループの礎を築いた豊田佐吉ですが、その詳細はあまり知られていないのではないでしょうか。発明の精神、自力経営など、今のトヨタにつながる部分があると感じられます。
「職は自分でこしらえるべきもの」「いつの時代でも新しいことは山ほどある」といった言葉は今の時代にも通じる、勇気づけられる言葉です。環境のせいにするか、自ら切り開くかは考え方次第ということを教えてくれているのではないでしょうか。


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