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経営サポート隊通信
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Vol.133 2023年1月号

2023年01月05日

明けましておめでとうございます。
新しい年の始まりですね。
気持ちを新たに今年も皆様のお役に立てるよう一同精進いたします。

何卒今年もよろしくお願いいたします!!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

皆さま良いお正月をお迎えのことと思います。
ところで、毎年決まってしておられることはありますでしょうか?お正月といえば初詣、お節料理、お年玉など色々ありますが、一年の初めに目標を立てられる方も多いのではないかと思います。

我が家では、毎年その年のそれぞれの目標を家族で発表し合うという習慣がいつの間にかできており、お正月の朝の恒例行事になっています。発表の際には、必ず昨年立てた目標の達成度合いはどうかという振り返りから話がはじまります。しかし、振り返りをする際に、年に一度の行事ですので、まず目標を思い出すということになります。思い出さなければならない程度の状態ですので、達成度合いは行き当たりばったり。新しい年の始まりなので気持ちを新たに!と気合を入れてせっかくチャレンジしようと心に決めたことも、日常生活が始まると、日々のせわしなさに紛れてしまい、結局目標を立てただけということになってしまいます。

そこで、今年は目標を見えるところに貼って、毎月その話を話題にすることにしてみようと思います。目標といっても堅苦しい目標ではなく、「ゴルフで100を切る」「英語の勉強を毎日30分する」「学校を休まない」「本を〇冊読む」など身近な事柄ですので、楽しく進められると思っています。ただ、状況を知るためには、目標に対して実際はどうだったか、記録が必要になります。無理なく記録を付けられる方法を探し、実践し、振り返ると一年後どうなっているか楽しみです。

ここまでで、もうお気づきの方も多いと思いますが、個人の目標管理も組織の目標も管理も同じ流れなんですね。目標を立てることは機会があればできるのですが、それを日々の行動につなげることが難しい。そこで、定期的な振り返りと、振り返りをするための実績がわかる記録が必要なのです。

我が家では私が進捗管理をこっそりしていく予定ですが、どのような組織でも中心となって進捗管理を進めていく人が必要です。そうでなければ、我が家の毎年の目標発表会のようにその場は盛り上がってもそれで終わってしまいますから。

我が家は私が回していきますが、社内だけではなかなか難しいというお話をよく聞きます。こういったことは外部の刺激があると、なおざりにならずに進みやすいからです。弊社ではその仕組みづくりと振り返りの継続的なサポートをさせていただいております。今年こそ、去年とは一味違う組織づくりに取り組みませんか?

目標設定では、まず世界、国内の情勢を考え、業界、わが社に当てはまる変化や機会脅威を考えます。そしてわが社の強みから導き出せる未来を共に考え、具体的に何をやっていくのか目標を設定し、1カ月ごとに振り返りを行い、軌道修正していきます。これを繰り返しながら、目標に近づいていくサポートさせていただくことを弊社ではMAS(マス:Management Advisory Service)と呼んでいます。

今年こそ!と思っていらっしゃる方は是非お問い合わせください!

今年も皆様にとって素敵な年になりますよう、お役に立てましたら一同この上ない幸せです!!

 


Vol.132 2022年12月号

2022年12月01日

皆さんいかがおすごしでしょうか。
2022年も今月が最後ですね。
今年も大変お世話になりました!

皆さんにとって来年が良い年でありますように!!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】(日経ビジネスオンライン 2022.10.21)

『京セラを創業したとき、私は経営の経験や知識を持たず、企業会計についても何も知りませんでした。そのため、支援をしてくださった会社の経理課長に、経理の実務を見ていただいていました。そして、月末になると、その人をつかまえては「今月の収支はどうでしたか」と聞くのですが、経理の専門用語を多用されると、技術系出身の私には難しくてよくわかりません。たまりかねた私は、「とにかく売上から経費を引いた残りが利益なんですね。ならば、売上を最大にして、経費を最小にすればいいのですね」と彼に言い放ったのです。おそらく経理の方は、あきれかえっておられただろうと思います。しかし、それ以来、今日まで、私はこの「売上最大、経費最小」を経営の大原則としてきました。非常にシンプルな原則ですが、この原則をただひたすら貫くことで、京セラは素晴らしい高収益体質の企業となることができたのです。

皆さんは経営の常識として、売上を増やせば経費もそれに従って増えていくものだと考えていると思います。しかし、そうではありません。「売上を増やせば経費も増える」という誤った「常識」にとらわれることなく、売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑えていくための創意工夫を徹底的に続けていくことが大切です。そうした姿勢が高収益を生み出すのです。たとえば、現在の売上を100として、そのための人材と製造設備を持っているとします。そして、受注が150まで増えたとすると、一般には、5割増の人員と5割増の設備で150の生産をこなそうとします。このような「足し算式の経営」は、絶対にしてはなりません。受注が150まで増えたら、生産性を高めて、本来なら5割増やしたい人員を2割増あるいは3割増に抑えるのです。そうすることで、高収益の企業体質を実現することができます。受注が増え、売上が拡大する会社発展期こそ、徹底した経営の筋肉質化を図り、高収益企業とする千載一遇のチャンスなのです。

しかし、ほとんどの経営者は、その好況期に放漫経営の種をまいてしまいます。足し算式に「注文が倍になったら、人も設備も倍にする」という経営を行っていては、一転して受注が減り、売上が落ち込むような事態を迎えたとき、たちまち経費負担が大きくなり、赤字経営に転落してしまいます。「売上最大、経費最小」を実践するためには、業績が組織ごとに、かつリアルタイムにわかる管理会計システムが不可欠です。組織の業績向上に貢献する会計システムや仕組みを構築することも、経営者の大切な役割のひとつです。経営者の強い思いとあふれる情熱、そして誰にも負けない努力と絶えざる創意工夫があれば企業は成長発展を遂げていきますが、成長し組織が拡大していくなかで経営の実態がわからなくなり、行き詰まってしまうこともあります。そうならないようにするためには、組織が拡大してもその実態がリアルタイムにわかる、きめ細かな管理の仕組みが必要です。つまり、経営を盤石なものとするためには、精緻な管理会計システムの構築が不可欠なのです。そのために私が京セラ創立間もないころから苦心してつくり上げてきたのが、「アメーバ経営」です。(アメーバ経営については『アメーバ経営』『稲盛和夫の実践アメーバ経営』(日本経済新聞出版)に詳しく解説されています。)

 


Vol.131 2022年11月号

2022年11月01日

皆さんいかがおすごしでしょうか。
早いもので今年も残り2か月です。            
今月も経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】(日経ビジネスオンライン 2022.3.1)

アメリカは現在、有人の月面探査「アルテミス計画」を進めています。日本のJAXAも参加しているアルテミス計画はアポロ計画以来、半世紀ぶりとなる2025年以降の月面着陸を目標にしており、その先の有人火星探査までを視野に入れています。人類が月や火星に長期滞在する時代を見据えて、関連技術の研究開発に取り組むベンチャーの経営者がいます。折り紙の技術を使って宇宙で居住施設を建てようと奮闘している、OUTSENSE(アウトセンス)代表取締役CEOの高橋鷹山氏へのインタビュー記事がありましたのでご紹介します。

『記者:折り紙の技術を使って宇宙で居住施設を建てる技術を開発している。そもそも、なぜ、地球以外の星で人が暮らせるようにしないといけないのか。

高橋氏:地球が維持できる人口には限界がある。新たな資源の獲得と、科学技術の進歩のために人類は宇宙へ進出しなければならない。ほかの星に定住し、新たな文化圏・経済圏を築き、人類は永続的に発展すべきではないだろうか。既に各国の研究者がさまざまな「折り技術」を開発している。この領域は折り紙工学と呼ばれ、宇宙関連でいえば人工衛星のアンテナや太陽光パネルを格納・展開するのに折り技術が使われている。この折り技術は宇宙居住施設にも有効だ。ロケットでの輸送コストは非常に高く、荷物を効率的に格納することが求められる。折り技術を使えば、居住施設をコンパクトに折りたたんで運べる。到着後、現地で展開すればよく、建設も容易だ。折り技術のほかにも、月面で採取した鉱物から作ったコンクリートで居住施設を建てる工法や、大きな3Dプリンターで建てる工法などがあるが、私たちは折り技術に特化する。我々は私の大学の恩師である東海大学の十亀昭人准教授が考案した「ソガメ折り」や、当社の石松慎太郎CTO(最高技術責任者)が考案した「イシマツ折り」を改良するなどして、宇宙居住施設を開発している。

記者:どのようなスケジュールでほかの星に人が定住できようにする計画か。

高橋氏:人類の本格的な定住先としては火星が有力だろう。ただ地球から火星までは片道で何カ月もかかるので、技術の有効性を火星表面で検証するのに時間を要してしまう。そこで、まずは数日で到達できる月面で技術を確立してから火星を目指す。2030年代には月面に居住施設を建てられるよう、現在、ゼネコンが進める研究プロジェクトに参加している。

記者:この分野に興味を持ったきっかけは?

高橋氏:学生時代は南極や砂漠、海洋など、過酷な場所での「極地建築」に興味を抱いていた。その1つに宇宙建築という分野があることを知り、のめり込んだ。 日本で宇宙建築が学べるほぼ唯一の研究室を主宰する十亀准教授に師事するとともに、同じ関心を持つ仲間とサークルを立ち上げた。その時の主なメンバーで2018年に設立したのがOUTSENSEだ。JAXAに入って「宇宙居住施設を研究したい」と言っても予算を確保できるか分からない。米航空宇宙局(NASA)に入っても、米政府の宇宙政策に振り回される恐れがある。日本のゼネコンは、バブル経済時代に宇宙居住施設の研究に熱心だったが、バブルがはじけるとやめてしまった。このように国や会社の方針に大きく左右される環境に身を置いたら、いつまでたっても宇宙居住施設は実現できないと思い、起業することにした。

記者:宇宙居住施設以外ではどのようなプロジェクトに取り組んでいるのか。

高橋氏:メーカー各社から依頼を受け、折り技術を使った建材や家具などの研究開発をしている。ソガメ折りやイシマツ折りを含め、約20の折り技術を駆使している。クライアントから要求されている強度、重量、折りたたんだときのサイズなどから、最適な形状を独自のソフトウエアで導き出す。そのほか、折り技術への理解を深めるワークショップを子どもや社会人向けに開催したり、折り技術を使ってデザイン性の高い壁面を開発したりしている。』

日本の伝統的な折り紙の技術と建築と宇宙が掛け合わされて、将来宇宙で人類が生活する日もそう遠くはないかもしれません。

 


Vol.130 2022年10月号

2022年10月01日

秋も深まり良い季節になってきましたが、
皆さんいかがおすごしでしょうか。
早いものでもう10月ですね。
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】(致知2003年7月号より)

先日、名経営者として世界的に知られる京セラ創業者稲盛和夫氏がお亡くなりになりました。今月は、生前に残されたインタビュー記事の一つをご紹介したいと思います。

『私は洗面をするときに、猛烈な自省の念が湧き起こってくることがあります。たとえば、前日の言動が自分勝手で納得できないときに、「けしからん!」とか「バカモンが!」などと、鏡に映る自分自身を責め立てる言葉がつい口をついて出てくるのです。最近では、朝の洗面時だけでなく、宴席帰りの夜などにも、自宅やホテルの部屋に戻り、寝ようとするときに、思わず「神様、ごめん」という「反省」の言葉が自分の口から飛び出してきます。「ごめん」とは、自分の態度を謝罪したいという素直な気持ちとともに、至らない自分の許しを創造主に請いたいという、私の思いを表しています。大きな声でそう言うものですから、人が聞いたら、気がふれたと思われるかもしれません。しかし、一人になったときに、思わず口をついて出てくるこの言葉が、私を戒めてくれているのではないかと思うのです。このことを私は、自分自身の「良心」が、利己的な自分を責め立てているのだと理解しています。

人間は、理性を使って利他的な見地から常に判断ができれば、いつも正しい行動がとれるはずです。しかし実際には、そうなっていません。往々にして、生まれながらに持っている、自分だけよければいいという利己的な心で判断し行動してしまうものです。それは、たとえば自分の肉体を維持するために、他の存在を押しのけてでも自分だけが食物を独占しようとするような貪欲な心のことですが、そのような利己的な心は、自己保存のために天が生物に与えてくれた本能ですから、完全に払拭することはできません。しかし、だからといって、この本能にもとづく利己的な心をそのまま放置しておけば、人間は人生や経営において、欲望のおもむくままに、悪しき行為に走りかねません。「反省」をするということは、そのように、ともすれば利己で満たされがちな心を、浄化しようとすることです。私は「反省」を繰り返すことで自らを戒め、利己的な思いを少しでも抑えることができれば、心のなかには人間が本来持っているはずの美しい「利他」の心が現れてくると考えています。

仏教で、「一人一人に仏が宿っている」と教えるように、人間の本性とはもともと美しいものです。「愛と誠と調和」に満ち、また「真・善・美」、あるいは「良心」という言葉で表すことができるような崇高なものであるはずです。人間は、「反省」をすることで、この本来持っている美しい心を開花させることができるのです。

ただ、この「反省」は一度すればいいというものではありません。繰り返し行うことが不可欠です。なぜなら、「反省」を繰り返さなければ変わることができないほど、人間は頑迷固陋(がんめいころう)な存在でもあるからです。私にとっても、毎日「反省」をするということは、最初は理屈で考え、行っていたことが、次第に習い性になってきたように思われます。このような習慣を持つことは、禅寺で修行をするのと同じような効果があるのではないでしょうか。「反省」を重ね、心を純粋にする努力を不断に続けることによって、次第に高い精神性を身につけることができると思うのです。

私自身を含め、人間は誰しも完璧ではありえず、ときに間違いを引き起こしてしまいます。しかし、そのたびに素直に「反省」し、再び同じ誤りをしないように懸命に努めていく、その日々の繰り返しが、少しずつ人間性を高めてくれるのではないでしょうか。私は、そのような「反省ある日々」を通じてかちえた「人格」こそが、最も堅固であるばかりか、何にも増して気高いものであり、それこそがわれわれをして、素晴らしい人生へと導いてくれるものと固く信じています。』

 


Vol.129 2022年9月号

2022年09月01日

皆さんいかがお過ごしでしょうか。
早いものでもう9月ですね。
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】(致知2007年8月号より)

今月は、ホンダ創業者本田宗一郎氏(1906~1991)から薫陶を受け、1970~80年代にかけて「シビック」や「アコード」などのデザインを手掛けてきた岩倉信弥氏のインタビュー記事を抜粋したいと思います。

『本田さんは凄く大きな夢を語るのですが、それが決して机上の空論にはなっていない。夢は大きく、目標は高いんだけど、やっていることは現場主義なんです。やはりちゃんと物を見て、直に物に触れ、現実をよく知らなきゃいけないという「現場・現物・現実主義」。それを外すと「やりもせんに!」と拳骨やスパナが飛んでくる。こちらは大学を卒業して多少知恵がついている分、「いやそれは無理です」とか、屁理屈を一所懸命並べるんだけど、言おうとすると怒られる。しょうがない、やるしかない、で、やっているうちにできちゃった、ということが何度もあった。人間は窮地に追い込まれて、いうなれば2階に上げられて梯子を外され、さらに下から火をつけられる、という絶体絶命の危機に立たされ、初めて湧いてくるアイデアや閃きがあるものです。

結局、なぜ怒るのかと考えたら、本田さんは経営者として考えているんです。こうしなきゃお客さんは喜ばないという発想だから、考え方が哲学的になる。一方、こちらはデザイナーとしての視点だけで考えている。つまりシンキングレベルが違うわけです。

本田さんは、いつもしつこいくらいに「いいモノをつくるにはいいものを見ろ」とおっしゃっていました。ある時、こんな苦い経験をしたことがあるんです。「アコード」の4ドア版をつくっていた時のことでした。僕らのデザインチームは、4ドアを従来の3ドアの延長線上に考えて開発を進めていた。ところが本田さんは「4ドアを買うお客さんの層は、3ドアとは全然違うぞ」と言って憚らない。ボディは四角く、メッキを付け、大きくて高そうに見えるようにしろと言われるのです。僕は内心、そんな高級車はよその会社に任せればいいと考えていました。ほんの気持ち程度の対応しか見せない僕らに、本田さんは「君たちはお客さんの気持ちが全然分っていない。自分の立場でしかものを見ていない」と日ごとに怒りを募らせてきます。毎日、よく似たやり取りが続き、我慢の限界を感じた僕は「私にはこれ以上できません。そんな高級な生活はしていませんから」と口にしていました。本田さんはそれを聞くなり「バカヤロー!」と声を荒げ、「じゃあ聞くが、信長や秀吉の鎧兜や陣羽織は一体誰がつくったんだ?」と言われたんです。大名の鎧兜をつくったのは、地位も名もない一介の職人。等身大の商品しかつくれないのであれば、世の中に高級品など存在しなくなる。自分の「想い」を高くすればできる。心底その人の気持ちになればできるんだ、と教えてくださったんです。

我々一般の人間は、なるべく厳しい戦いは避けようとしますね。商品開発でも、水と油のように相いれない関係があれば、はなからミスマッチだと否定してしまう。けれども2代目の「プレリュード」をつくった時、お客様はきっと、スポーツカーのかっこよさとセダンの実用性を兼ね備えた車を期待しているように感じたんです。普通であれば、そんなことはできないと諦めてしまうんだけど、僕の提案を聞いた3代目の久米是志社長は、「よし、やってみよう」と言ってくださった。そして1982年に発売されたこの車は世界中で大ヒットを飛ばし、続く3代目「シビック」は自動車デザインで世界グランプリを取りました。その時僕は、「矛盾」という言葉について考えました。天下無双の盾と矛があって、いくら戦っても勝負がつかない。けれどももっと高い地点で、お互いが手を握り合う世界があるんじゃないか。勝負のない、戦わない世界があるんじゃないかと。けれども、そのためにはまず戦わないとダメなんです。それこそ、もう死ぬ思いをしてね。本田さんは誰もが不可能だと思えることを口にし、その不可能命題を乗り越えて世界一になった人です。そういう姿を次の社長も、その次の社長も見ているから、ホンダにその遺伝子が受け継がれていくんです。本田さんはもの凄く怖い人だったけど、実は怒ることによって自分の持つ高い想いへと、我々を引き上げようとされていたんじゃなかったかと最近思うのです。一緒にモノをつくって完成させる喜びを、皆で味わうためにね。』

 


Vol.128 2022年8月号

2022年08月01日

8月になりました。
暑い日が続きますが皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

今月は、日経ビジネスオンラインから、「嫌われる勇気」の著書、アドラー心理学の研究者として有名な岸見一郎先生の記事をご紹介します。(日経ビジネスオンライン 2022.7.21「孤独なリーダーができること」)
『ローマ皇帝であるマルクス・アウレリウスが日々の思いを包み隠さずノートに書きつけていった『自省録』に、次のような文章が記されています。
「早朝に自分に向かっていえ。私は今日もお節介で恩知らずの傲慢な欺瞞(ぎまん)的な嫉み深い非社交的な人間に出会うだろう」(『自省録』)
「彼らは互いに軽蔑し合いながら互いにへつらい合う。そして、相手に優越しようと欲しながら互いに譲り合う」(前掲書)

アウレリウスは皇帝でありながら、裏切りや謀略に悩まされていました。まわりにいる人が自分の味方ではないかもしれないという不信感を持ち、いつも孤独であったように見えます。

早朝にこのようなことを書いたのは、不意に嫌な人に出会うことになるよりも覚悟しておいた方が、実際にこのような人に会った時の衝撃は少なくてすむという思いからだったのでしょう。

リーダーとして自信満々の人でなければ、『自省録』の中に心に響く言葉をいくつも見つけることができるでしょう。

アウレリウスは、人間の力の及ぶことと及ばないことがあると考えます。自分のことをよく思わない人がいることは、力が及ばないことですが、力が及ぶことはあります。
「最初に現れる表象が伝えること以上のことを自分にいうな。何某がお前のことを悪くいっていると告げられた。それは確かに告げられた。だが、お前がそれによって害を受けたとは告げられなかった」(前掲書)

何か外に起きたことの印象(表象)が感覚器官によって心の中に刻印されるのですが、それが正しいとは限らないとストア哲学では考えます。

誰かが自分について何かを話しているというのが「表象」です。その事実だけを受け入れ、その表象が伝える以上のこと、つまり、それが「悪口」であると判断してはいけないのです。

たとえ、それが事実悪口であっても、それによって害を受けるわけではありません。伝聞であれば、なおさらそのような判断が正しいとは限りません。

できることは二つです。まず、自分のことがよく思われていないのではないかと疑心暗鬼にならないことです。自分がどう思われるかを気にしてばかりいる人は、自分にしか関心がないのです。

次に、もしも部下の言動が気になるのであれば、はっきりと指摘してもらうように部下に伝え、その際、決して自分の人間としての好悪ではなく、リーダーとしての自分の言動について意見をいってほしいと伝えることです。

アウレリウスは、人間を強く嫌悪していたという人もいますが、たとえそうだったとしても、自分にはするべきことがあることを知っていました。アウレリウスにとってそれは皇帝としてローマ帝国を統治することでした。

リーダーも自分がどう思われるかというよりは、組織にとって何が有用なのかに関心を向けなければなりません。自分の有利になるよう近づいてくるような人は遠ざけなければならないのです。』
いかがでしたか?リーダーは孤独なものですが、自分がすべきこと、つまり組織にとって何が有用なのかに焦点を当てて考えることを中心に判断することが、リーダーとしてなすべきことであり、心にその考えを置き続けることにより、リーダーとしての正しい振る舞いが可能になるのですね。

 


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