Vol.149 2024年5月号
2024年05月01日

皆さんいかがおすごしでしょうか?
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!
【河合由紀子のちょっとイイ話】
今月は、少し古い記事ですが、日経ビジネス電子版から『「なぜそれを知っている?」顧客を驚かせる会社キーエンス」(2023.10.16西岡杏(日経ビジネス記者))をご紹介したいと思います。
『1974年の設立以来、主力にしてきたのはセンサーを中心とした業務用の電子機器。製造現場で異常を発見したり、生産性を高めたりするために使うものだ。工場の自動化(FA:ファクトリーオートメーション)の進展とともに事業領域を広げ、バーコードなどを読み取るハンディターミナルやロボットビジョン(ロボットと組み合わせて検査などに使うカメラシステム)などでも存在感を高めてきた。とはいえ、工場や倉庫、研究所に出入りする人でなければ、キーエンスの商品を目にする機会はほとんどないだろう。
商品はハイスペック一辺倒ではなく、意外なものを組み合わせる斬新なアイデアを特徴とするものも多い。例えば、自動化した生産設備で制御を担うプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)。キーエンスは2019年、世界で初めてPLCに「ドライブレコーダー」機能を搭載した。クルマで事故が起こったときに状況を確認できるのと同様に、PLCを搭載する設備の稼働実績やカメラ映像などをくまなく記録し、後から確認できるようにした。
設備に起きた不慮のトラブルを詳細に分析するのに役立つ新機能は中小製造業の心を捉えた。このPLCは大ヒットとなり、今では三菱電機などの競合メーカーもPLCにドライブレコーダー機能を加えられるようにしている。
原理はそれほど難しくなくても、キーエンスが真っ先に商品アイデアを思いついた例は珍しくない。1万種類以上とも言われる商品を手掛けるキーエンスは、新商品の約7割が「世界初」あるいは「業界初」だと豪語する。
他にない機能を持つ商品が高く売れるのは当然だ。キーエンスの商品の粗利は約8割とされる。原価2000円の商品を1万円で売っている計算だ。
そんな商品を顧客の手元に届け、価値を感じてもらう原動力になっているのが、キーエンスの代名詞ともいえる「直接営業」だ。三菱電機やオムロンといったFA機器の競合メーカーが代理店を使った間接営業を主軸にするのとは対照的に、キーエンスは社員が営業担当として顧客企業を直接訪ね歩く。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小宮知希シニアアナリストの試算によると、キーエンスの社員1人当たり売上高は8710万円(22年3月期)。代理店によるサポートがない分、不利になりそうなものだが、オムロンの工場向け制御機器事業の4482万円(同)に比べて約2倍という効率の高さだ。
19年秋にキーエンス製品を導入したクボタは、商談の展開スピードに驚いた。クボタは農機や建機のエンジン製造工程で使うロボットビジョンの導入を検討し、数社に見積もりを依頼した。代理店を挟むメーカーでは回答に1週間かかるところもあったが、キーエンスは即日回答。翌日には大阪市内のラボでの試用まで提案してきた。クボタ生産技術統括部の竹野陽山・第一課長は「圧倒的な速さだった」と舌を巻く。
兵庫県宝塚市で電子機器を生産するニッシンの役員は「ウェブサイトから商品カタログをダウンロードした1時間後に、突然電話がかかってきた」と打ち明ける。キーエンスに「待ち」の姿勢はない。顧客の興味の兆しが見えた途端にアプローチし、自らのペースに巻き込んでいく。』
一人当たりの売上がずば抜けて高く、社員の平均給与は2000万円超と言われるキーエンス。その効率の良さの秘密はどこにあるのでしょう。続きは来月号でお届けします。