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経営サポート隊通信
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Vol.146 2024年2月号

2024年02月01日

2月になりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

今月は12月に取り上げました、日経ビジネス電子版の記事『アマゾンのジェフ・ベゾスがウォルマート創業者から盗んだアイデア』(2023.8.18)の続きをご紹介したいと思います。(先月にご紹介する予定でしたが、年始のご挨拶の記事を掲載いたしましたので、今月にご紹介させていただきます。)

『自前で物流網を持つことへのこだわりもウォルマートが手本といえます。ウォルトンはウォルマートの物流の優位性についてこの本でこう述べています。「率直にいって、わが社の物流システムは、小売業界はもちろん、他の多くの業界からも羨望の目で見られている。……わが社の店舗が取り扱う商品は八万品目を超えるが、これら商品の85%を自社の物流センターから直接補充している。……その結果、各店がコンピュータで商品を発注してから実際に納品されるまでにかかる日数は、他社が一般的に5日以上であるのに対し、わが社では平均わずか2日である」ウォルマートは自前の物流システムを構築することで、時間だけでなくコストも削減しました。物流コストを低減することで、「仮に同じ商品を同じ売価で売ったとすれば、わが社は他社より1.5~2%も余分に利益が出る計算になる」とウォルトンは述べています。アマゾンも自前の物流センターを持つことで、配送スピードでライバルのネット小売りに対して圧倒的な優位性を持つようになりました。創業期に資金が足りなかった多くのネット小売りが物流をアウトソーシングしたのとは対照的ですが、配送に時間がかかる米国では際立った競争力になりました。しかもアマゾンはロボットなども活用して低コストで効率的な物流システムを実現しており、低価格で商品を売っても利益が得られる体制を構築しました。

このほかにも経営陣が自由に経営しやすいように労働組合をなるべく作らせないようにする一方で、従業員には自社株を付与して(ウォルマートでは株式購入優先権)会社と一体感を持たせ、株価の上昇で報いる仕組みを導入するなど、両社の類似点は枚挙にいとまがありません。べゾスはウォルトンの経営手法に心酔していました。べゾスから私のウォルマート商法をもらった人物によると、「優れたアイデアを競争相手から拝借する」というくだりに下線が引いてあったそうです。ウォルマートの経営ノウハウを取り入れるために、べゾスは同社の経営人材も引き抜きました。それがリック・ダルゼルです。ウォルマートのIT部門の幹部でしたが、1997年に創業期のアマゾンに入社し、2007年11月までアマゾンのCIO(最高情報責任者)や上級副社長を務めました。アマゾンの成長を支えるテクノロジーやソフトウエア、サービスの基盤を構築するという重要な役割を担いました。

ウォルトンの著書からべゾスが学べることはほかにもありました。巨大企業になったときに社会から受ける猛烈な反発とどう向き合うかです。ウォルマートの成長と歩調を合わせて、多くの小規模店が廃業するようになります。ウォルマートは「よきアメリカの田舎町を破壊する敵だ」と非難され、目の敵にされるようになりました。「完全に成功した大企業になると、突然敵役にされるのだ。というのも、どうやら誰もが、トップに立つものを打ち落とすことが好きらしいからである」。このようにウォルトンは述べています。アマゾンも急成長を続けて大成功を収めるようになると、小売業の“破壊者”と見なされるようになりました。アマゾンの収益拡大などの影響を受けて業績が悪化しそうな米国の小売関連の上場企業54社以上を対象にした「デス・バイ・アマゾン(アマゾン恐怖銘柄指数)」も生まれたほどです。アマゾンの物流拠点における労働環境が批判され、労働組合を結成しようとする一部の従業員の動きも注目を浴びるようになりました。かつてのウォルマートと同じように、強大になったアマゾンも社会に受け入れられ、愛される企業になることが求められています。

ウォルトンはこの本の最後でアマゾンの登場を暗示するような言葉を述べていました。「ウォルマートのようなサクセス・ストーリーは、今の時代でも可能なのか? もちろん可能だ、というのが私の答えだ。今この瞬間にも、素晴らしい発想をもった誰か、何万人もの人々が、成功への道に向かって歩み始めている。何としてもそれを達成したいという情熱さえあれば、成功は何度でも起こり得る。必要なのは経営について絶えず学び、絶えず疑問を抱く姿勢とそれを実行する意欲だけである」 経営について絶えず学び、疑問を抱く姿勢を持ち続ける一方で、強烈な実行力も持ち合わせたべゾスは、ウォルマートをはるかに凌駕する株式時価総額を誇る巨大企業にアマゾンを育てました。』


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