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Vol.173 2026年5月号

2026年05月07日

新緑の季節になりました。
梅雨に入る前のさわやかな季節を戸外で満喫するのに
良い季節ですね!
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

今月は一倉定の社長学シリーズ『社長の条件』(日本経営合理化協会出版局)から、「おが屑が飼料の値で」(P239―240)という話を抜粋してお届けしたいと思います。

『宮崎県の高原町に村上木材という会社がある。

同社は、陶器の化粧箱の製材を専業としている。私が驚いたのは、製板をした板を見た時である。そこには、鋸目らしいものは殆んど認められなかった。

普通は鋸目があり、さらに一定の間隔でより深い鋸目がついている。この深い鋸目は、帯鋸を接合した部分が二重になっているためである。

このような鋸目がないために、いきなり仕上鉋がかかるのである。鋸目のあるものは中仕子(中仕上げの鉋)をかけてから仕上げをかけるから2工程かかる。つまり、村上木材の板は他社製に比較して1工程はぶけるのである。顧客にとってはこんな有難いことはない。

その上、板の厚さを厳重に検査し、少しでも薄いものは取除いて出荷をする。かなり多くの会社で、わざと少し薄い板を挽き、これをアンコと称して混ぜて出荷をする。その分が儲けになるという。ずるいというよりはなさけない根性の社長が可成りいるのである。

正しい厚さで、いきなり仕上鉋がかかる村上木材の商品は、当然のこととして顧客から引っ張りだこである。だから村上木材では一年中閑な時は全くない。常にフル操業である。

これというのも、村上社長の「顧客第一主義」のしからしむるところであり、その顧客第一主義は、村上木材にフル操業という強味となって返ってきているのである。

さらに、いきなり仕上鉋をかけられるという優れた製材技術から生れるおが屑は粒状ではなくて粉状である。これが家畜の飼料として売れるのである。最近の家畜は濃厚で消化のよい飼料を与えられ、内臓が楽をするために弱くなる。飼料におが屑を混ぜて与えると、繊維質のために内臓が刺戟されて丈夫になるということである。そのために、おが屑をオガライトの材料として二束三文で売っている他社よりも10倍の高価で売れるのである。顧客第一主義はこのようにペイするものである。いうまでもなく、村上木材は安定高収益を確保しているのである。』

いかがでしたか。一倉定氏は、事業経営の成否は、社長次第で決まるという信念から、社長だけを対象に情熱的に指導した異色の経営コンサルタントです。本書は1978年に出版されたものですが、色あせることのない具体的な例が多く書かれています。

今回ご紹介したおが屑の話は、お客様を第一とする考え方から生まれた技術は、信用、副産物の質の良さから利益を生み、従業員にもやりがいを感じさせることができるようになっていくという良い循環を生んでいます。これに対し、儲けだけを考えると、不良品を間にはさんでごまかし、短期的には利益が出ることもあるかもしれません。しかし、長い目で見れば、顧客の信用、従業員のプライドを失い、利益率の高い仕事ができないという悪循環に向かっていくのは明らかですね。


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