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経営サポート隊通信
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Vol.123 2022年3月号

2022年03月01日

3月になりました。
そろそろ桜も蕾も膨らみ暖かくなってきますね。
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

【河合由紀子のちょっとイイ話】
今月は、日経電子版(Mono Trendy 2022年2月9日 一部編集)から、注文から受け取りまで一切人と接しないフルーツオレの専門店の記事をご紹介します。オーダーメイド、非接触、効率的な店舗運営ということ以外に、実験的に実店舗を持つことにより顧客情報を活用し、またBtoBの新規ビジネスにつなげようという試みがうかがえます。

『フルーツオレ専門店「The Label Fruit」は、モバイルオーダーサービスを展開するShowcase Gigと、コインロッカーや通貨幣処理機などを製造・販売するグローリーが、2021年12月に共同で立ち上げた店舗だ。事前にモバイルオーダーで注文しないと、店舗で商品を受け取れない「BOPIS(バイ・オンライン・ピックアップ・イン・ストア)」形態の飲食店だ。出来上がりの商品は店頭に設置したロッカーを介して渡すため、完全に非接触で受け渡しができる。店舗はバックヤードで商品を作るスタッフのみで運営されており、販売スタッフはいない。事前注文から店頭での受け取りまで、客側の一連の流れは簡単だ。まず来店前に、インスタグラムかグーグルマップに表示される店舗のプロフィル画面から、商品の購入ページにアクセスする。商品を選択し、受け取り時間やクレジットカード情報などを設定。注文が完了すると、店舗から商品を受け取る際に必要なQRコードがメールで送られてくる。あとは指定の時間に来店して、店内のロッカーにQRコードを読み込ませ、商品を受け取る。フルーツオレは、味がストロベリーやメロンなど5種類、下地となるミルクが3種類から選べる。さらに、ナタデココや杏仁豆腐などのトッピングが選べ、甘さの度合いも調整可能。価格は税込みで1000円前後だ。商品のラベルもカスタマイズできる。色は12種類、デザインを8種類以上そろえ、名前も記入できる。Z世代はスマホ起点で、あらゆる物事を完結させるのに慣れているので、自分だけの一点モノや、カスタマイズする体験を求めている。そこで、購入体験をより楽しんでもらえるよう、バリエーションの選択肢を増やした。ラベルの色や種類が豊富で、商品自体も色鮮やかなので、推し活やSNS映えの効果も期待できると考えている。また、受け取り場所となる店内からも、体験価値を感じてもらえる仕掛けを施す。ロッカーの扉はモニターになっており、内部からデジタル映像を流せる。商品の人気ランキングや、受け取り時にデザインしたボトルのバーチャル映像を映す。イートインはできないが、撮影スポットとして店内を利用できる。壁には撮影時に役立つ鏡を貼ったり、若年層に人気のネオンサインで飾った。顧客によるSNSへの投稿を誘引し、来店動機やリピーターを生み出す狙いだ。
両社が店舗での体験価値を重視する理由は他にもある。グローリーにとっては、「店舗運営の最適化を検証していく場」である。2年前から、同社ではデータを生かしたビジネスに注力している。The Label Fruitの店内にも、AIカメラやAIビーコンを数台設置し、ユーザーの購買行動を分析していく。混雑する時間帯や需要を推測し、スタッフの適切な配備や需要予測を行い、店舗運営を最適化していく。活用の道は、無駄がない店舗運営だけではない。店内のプロジェクターからコンテンツを流し、若年層を中心としたユーザーが、どのようなコンテンツや店内の仕掛けに反応を示すかも分析する。AIカメラの映像から「どのようなユーザーが、店内のどの場所で、どれほど滞在したか」を調査することで、ユーザーの趣味趣向をくみ取り、より顧客満足度の高い店舗づくりを行う。一方ショーケース・ギグは、モバイルオーダープラットフォームの注文履歴から顧客の購買データが取れる。両社は異なるアプローチながら、ともにThe Label Fruitを通じて販売に関するデータを取得し、自社のサービスに生かしたい考えだ。それぞれのデータを掛け合わせ、OMO(オンラインとオフラインの融合)のノウハウを培っていくのが協業の目的だ。
両社は今後も協業を続けていく。現段階での構想は大きく2つ。1つは、ファストフードなどの別業態や他のエリアでも、BOPISのシステムを取り入れた店舗を展開すること。もう1つは、BOPISでの店舗運営方法をパッケージ化して外販提供することだ。サブスクリプション型のモデルにすることで、飲食店は初期費用を抑えて効率化された店舗を運営できると想定している。』


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