経営サポート隊通信 | 大阪の経営支援ならプラス・パートナー
経営サポート隊通信
経営サポート隊通信

Vol.143 2023年11月号

2023年11月01日

11月になりました。
今年も残り2ヶ月です!今年のことは今年のうちに!
それでは、今月も元気に経営サポート隊通信をお届け致します!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

(『「なぜそれを知っている?」 顧客を驚かせる会社キーエンス』西岡杏 2023.10.16)

今月は日経ビジネス電子版から、キーエンスの記事をお届けしたいと思います。

『2021年冬、工作機械用の部品を手掛けるエーワン精密の山梨工場で、「レーザーマーカー」と呼ばれる装置が故障した。金属や樹脂などにレーザー光を照射して、番号やバーコードなどを刻印するための装置だ。エーワン精密は「コレットチャック」と呼ばれる部品で国内シェア60%を占める最大手。コレットチャックは「旋盤」という工作機械において、加工物や工具を固定する役割を果たす。使用する旋盤や加工物、工具それぞれの種類や大きさに応じてコレットチャックに求められる仕様は異なるため、エーワン精密の生産は「少量多品種」の極みだ。どのコレットチャックがどんな仕様かを見分けるために、レーザーマーカーによる刻印は不可欠だ。

「これまで通り、パナソニック製のレーザーマーカーを購入しよう」。エーワン精密の室田武師専務取締役は既存の生産ラインとの相性を考慮し、同じメーカーのものを選ぶつもりだった。ところが、思いがけない人物が室田氏に声をかけてきた。キーエンスの営業担当者だ。「レーザーマーカーを購入されるご予定ですか」。まるで故障を知っていたかのようなタイミングに、室田氏は驚きを隠せなかった。

種明かしをすれば単純な話だ。この営業担当者は室田氏を訪ねる直前、エーワン精密の別部署でレーザーマーカーの販売を終えていた。その去り際、いつもの習慣でこう尋ねた。「他にお困りの方はいませんか?」。それに対する答えが、営業担当者を隣の建屋に向かわせたのだった。

それからの動きは速かった。数日後に再び来訪。1分ほどで自らレーザーマーカーの準備を整え、室田氏の目の前でデモを披露した。訓練を積んだ口調で機能を紹介し、質問への返事もよどみない。納得した室田氏は、その場で購入を決断した。パナソニックには、故障直後に連絡を入れ、購入意向を伝えていた。だが、パナソニックの営業担当者が電話をかけてきたのはキーエンス製のレーザーマーカーを購入した後だった。

訓練された営業担当者が常に需要を探り続け、チャンスとみたら電光石火で勝負をかける。エーワン精密の山梨工場での受注は、決して偶然ではない。こんなシェア奪取劇が世界中で起きていることを、キーエンスの業績がはっきりと示している。

22年3月期の売上高は過去最高の7552億円で、10年前の4倍近くにまで拡大した。営業利益も過去最高で、売上高に対する営業利益の比率はメーカーとして驚異の55.4%に達する。新型コロナウイルス禍での投資抑制の影響を受けて一時足踏みしたものの、ほぼ右肩上がりで成長を続けてきた。それも、営業利益率が50%前後という高い収益性を維持しながらだ。』

顧客が必要なタイミングでの営業、的確な提案、素早い対応、豊富な製品知識、商品を購入する立場からはいずれもうれしいことばかりですが、販売する立場になれば実は実際に実現することは難しいことばかりです。記事を読んでいて、その営業の鮮やかさに感嘆してしまいましたので、来月もこの記事の残りの部分を紹介したいと思います。


-
お試し診断はこちら