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経営サポート隊通信
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Vol.140 2023年8月号

2023年08月01日

夏真っ盛りですが
みなさんお元気でお過ごしでしょうか?        
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします。

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

今月はプレジデントオンラインより、ノンフィクション作家の野地秩嘉さんによる連載「トヨタがやる仕事、やらない仕事」の第11回「トヨタが大切にしているもの」から抜粋してご紹介したいと思います。

『本稿ではトヨタが大切にしているものについてまとめます。

それは「他の誰かのために」です。なんだ、きれいごとかと言う人もいるでしょう。しかし、組織の目的とは、きれいごとであるべきです。「売り上げだ」「利益だ」「生産性の向上だ」というのは自分たちさえよければいいという自分勝手な目的です。企業は社会が必要としなければ長期的に存在していくことはできません。また、「売り上げだ」「利益だ」と言ってはばからない人は気持ちが緩んでいます。社会がそういう人のことをどう考えるかを想像できないようでは会社を経営していくことはできません。社会のことを見るのはもちろん、自社の目的や理念を語る時は慎重でなければならないし、また、特別に目立つようなことを言わなくていいのです。社会への貢献、弱い立場の人を思うことを自分の言葉でなく、退屈だと思われてもいいから、普通の言葉で伝えることです。トヨタは「他の誰かのために」とわかりやすい言葉、どこの国でも通用する言葉で語っています。

ある役員経験者から「トヨタには神社がある。新任役員の最初の仕事はそこにお参りすること。これは役員になった者だけの仕事だ」と聞いたことがあります。トヨタの本社工場のなかには豊興神社という神社があります。役員以上がお参りできる神社で、一般の社員は入ることはできません祀ってあるのはトヨタの物故者です。かつてお参りは元日でしたが、今は正月明けの最初の出社日になっています。経営陣、役員が揃ってお参りすることになっています。1年間の物故者、つまり、トヨタで働いていて亡くなった方々を悼み、感謝するためのお詣りです。もうひとつ、トヨタグループが建立した寺があります。蓼科(長野県)の聖光寺と言います。「交通安全の祈願」「交通事故遭難者の慰霊」「負傷者の早期快復」のために建てた寺で、毎年7月の夏季大祭にはトヨタグループの経営陣が集まり、交通安全を祈願します。他の自動車会社でここまでやっているところはないでしょう。社会的な責任を意識しており、「他の誰かのために」を考えている会社だからこそです。

しかし、社内に神社があることなどは秘密ではないけれど、世の中には伝わっていません。わたしが話を聞いた役員経験者が話していましたが、「豊興神社にお参りすると、トヨタの歴史をもっと知ろうという意識、社会に貢献しなければいけないという自覚が生まれる」とのことです。また、豊興神社へは11月3日の創立記念日にもやはり幹部がお参りするそうです。トップが頭を下げ「長年、トヨタのために尽くしてくださって本当にありがとうございます」と感謝するのだそうです。トヨタを作った先輩たちに感謝する、同時に歴史を大切にしている。他の幹部からも聞いたことがあります。「歴史と創業者を大切にしない会社はつぶれます」トヨタの役員になると、そういうことをいっそう強く感じるのでしょう。

トヨタ生産方式として知られる仕事のやり方があります。「トヨタ自動車のクルマを造る生産方式は、『リーン生産方式』、『JIT(ジャスト・イン・タイム)方式』ともいわれ、今や、世界中で知られ、研究されている「つくり方」です。トヨタのホームページには次のような説明が書いてあります。「お客様にご注文いただいたクルマを、より早くお届けするために、最も短い時間で効率的に造る」ことを目的とし、長い年月の改善を積み重ねて確立された生産管理システムです。トヨタ生産方式は、『異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない』という考え方(トヨタではニンベンの付いた「自働化」といいます)と、各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産する考え方(「ジャスト・イン・タイム」)の2つの考え方を柱として確立されました」さらに、トヨタ生産方式のルーツは次のように解説されています。「ムダの徹底的排除の思想と造り方の合理性を追い求め、生産全般をその思想で貫きシステム化したトヨタ生産方式は、豊田佐吉の自動織機に源を発し、トヨタ自動車の創業者(2代目社長)である豊田喜一郎が『ジャスト・イン・タイム』による効率化を長い年月にわたり考え、試行錯誤の末に到達したものです」

この文章はトヨタの社員なら誰でも暗唱できるのではないでしょうか。それくらい、トヨタ生産方式と歴史観を大事にしているのでしょう。』

組織には長年にわたって培われてきた組織風土があります。良い風土、良くない風土がありますが、いずれも一朝一夕に出来上がったものではありません。トヨタの組織風土がどのようにして構築されてきたかを垣間見ることができる記事だと思います。続きは来月ご紹介いたします。


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