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Vol.127 2022年7月号

2022年07月01日

7月になりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

 

【河合由紀子のちょっとイイ話】

今月は、日経XTRENDの記事から、米国の次世代ブランドやリテールテックを紹介するニュースレターの執筆者、沼田雄二朗氏の記事をご紹介したいと思います。今、米国の消費者は何を基準にブランドを選んでいるのか、未来のトレンドのヒントが垣間見えます。(2022年5月31日日経XTRENDより)

『2030年に向け、より消費の中心になっていくZ世代。彼らの関心の一つが、サスティナブルな商品やサービスだ。国際的な大手会計事務所、デロイト・トウシュ・トーマツが2021年に実施した調査によると、新型コロナウイルス禍を受けてZ世代の最大の懸念事項は、気候変動と環境保護であり、続いて失業と健康管理・疾病予防だった。同調査における全回答者のうち60%は、コロナ禍の余波を受け、企業が気候変動への取り組みの優先度を下げるのではないかと考えているという。

大量生産・大量消費を前提としてきた親世代への反発もあり、米国のZ世代はサスティナビリティーをクールなカルチャーとして捉えています。数量や販売期間が限られた「限定商品」を持っていることがクールであるのと同じように、そのブランドがサスティナブルであることを「知っている」、その製品を購入することでサスティナブルな生活を「実践している」など、そのようなブランドや情報にアクセスできていること自体がクールだと感じているようです。彼らの消費額がピークを迎え始める2030年に向け、消費者としてのZ世代はますます存在感を示すようになります。「サスティナビリティーはクール」だという価値観を重視する世代に向けて、コミュニケーションの中身はもちろん、製品やブランドのあり方自体を再考していく必要がありそうです。

Z世代によるサスティナブル消費の典型例は、まずサスティナビリティーと銘打っているブランドを選ぶことです。ブランドの間ではゼロ・ウエイスト(ゴミをゼロにすることを目標に掲げた活動)など、廃棄を減らす活動が広がっていますが、消費者の間でも直接ロスを減らせるという意味で、あえて古着の服を買う人たちも増えています。その結果、アパレルの二次流通市場が急速に拡大しています。当然、Z世代の彼らは、新品と比較すると古着の方が価格的なメリットが大きいから選んでいるという側面もあります。サスティナビリティーのことだけを考えて消費をしているわけではないので、10ドルの商品が15ドルになると受け入れられないこともあります。将来の経済成長が親世代より不透明な中で、得られるバリューに対する評価が厳しいこともZ世代の特徴の一つです。

Z世代に人気のサステナブルブランドのキーワードの一つが「廃棄ゼロ」です。新興のスニーカーブランド「Thousand Fell(サウザンドフェル)」は「廃棄ゼロ」をミッションに掲げ、全てリサイクル可能な素材でスニーカーを生産しています。「SUPER CIRCLE(スーパーサークル)」と呼ばれる独自の回収プログラムも行っており、使い古した自社製品を送ると同社のサプライチェーン内でリサイクルされ、次の買い物で割引になるクーポンも発行してくれます。製品に使われている素材もアロエやリサイクルされた原料が用いられており、デザイン自体もシンプルでクリーン。履きつぶした後の回収までセットで製品を販売するというのは、「スニーカーを履いて捨てる」という罪悪感から解放してくれる面白い仕組みです。

最近日本でもよく耳にするようになったので知っている方もいるかもしれませんが、「Parade(パレード)」という女性向け下着のスタートアップも「リサイクル」のプログラムで注目されているブランドです。“インクルーシビティー(包括性)”をブランドのコアに置き、幅広いサイズラインアップの製品クリエイティブには、様々な人種や体形のモデルを起用しています。サスティナビリティーについても立ち上げ当初から注力し、商品を100%リサイクル素材で作ることを目指しています(22年現在は80~95%であるが、23年に100%という目標を掲げている)。22年から米国で開始したリサイクルプログラム「Second Life(セカンドライフ)」では、使い終わった下着を洗って送る、またはリアル店舗に持っていくとクーポンがもらえるというものです。回収された製品はその後、下着ではなく建築資材などに活用されるそうです。自社商品以外の下着も対象としているので、他ブランドの顧客がプログラムに申し込み、クーポンを受け取ることで、新規顧客の開拓にもつながるようになっています。』

リサイクルに自社で取り組むのは特殊な技術やオペレーションを必要とするため難しいので、専門業者とパートナーシップを組んでアウトソースしているようです。消費者のし好、世間の空気が変わることにより、これまでは取り組んでこられなかったことがビジネスとして成り立つ可能性が感じられます。


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