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経営サポート隊通信
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Vol.125 2022年5月号

2022年05月01日

5月になりました。
風薫る爽やかな良い季節ですね。
今月も元気に経営サポート隊通信をお届けいたします!

【河合由紀子のちょっとイイ話】
今月は日経ビジネスオンラインのシリーズ「上阪欣史のものづくりキングダム」から『誰でも「デジタルものづくり」始まった製造業のMaaS2022.3.25掲載)』の前半をご紹介したいと思います。(後半は来月号でご紹介します。)

『デジタル技術を使い誰でも高度なものづくりができるサービスがにわかに広がっている。製造業MaaS(マニュファクチャリング・アズ・ア・サービス)とも呼ばれるが、その新星がHILLTOP(ヒルトップ、京都府宇治市)だ。かつてしがない自動車部品の下請け中小企業だったが、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)に事業をシフトすることで、ありとあらゆる機械加工のデータを膨大に蓄積。そのビッグデータを基にAI(人工知能)が部品を削り出す手順や使う工具の選定など加工プログラムを自動作成するソフトを開発した。

工作機械による高精度のNC(数値制御)プログラミングは職人技とされてきたが、その常識を打ち破った。機械加工の自動プログラミングという新サービスのベンダーとなり、ものづくりに従事する社員をより創造性の高い仕事へと向かわせる未来を描く。

ヒルトップの本社はピンク色の壁面に近代芸術を思わせる奇抜な外観が目を引く。中に入るとこれまたピンクを基調とした明るいオフィスで、工場をガラス越しにのぞくと工作機械がずらりと並んでいる。実はヒルトップは、新型コロナウイルス禍前には年間20002500人もの人が見学に押し寄せていた、知る人ぞ知る中小企業だ。誰もが知る自動車メーカーの幹部も訪れる。一体なぜ、そんなに耳目を集めるのか。

同社はアルミ材料を削って部品をつくるメーカーで、最大の競争力は短納期のマスカスタマイゼーションにある。売り上げの80%が12個の特殊な部品や試作品で、受注品目数は月間約4000に及ぶ。だが、納期は35日を順守しており、従業員140人弱の中小企業ながら他社がやりたがらない少量生産を請け負う。なぜやりたがらないのかと言えば、手間暇がかかる割にはそれに見合う利益を出せないから。だが、同社は製造業平均をはるかに上回る1020%の売上高営業利益率をたたき出している。

同社の競争力の源泉は「工場中心ではなくオフィス中心のものづくり」だ。フライス盤や旋盤など工作機械で削るときには、どういった切削工具をどのように機械にセットし、どのような手順で表面を削っていくかプログラミングしなければならない。切削スピードや別の工具と自動交換するためのプログラミングもしかりだ。こうした切削ノウハウは職人技のたまものとされてきた。習熟していなければ工具の選定やセットだけでも1時間以上かかる場合がある。これでは次から次へと押し寄せる多品種少量生産はこなしきれない。

そこで常務の山本勇輝氏が考えたのが、職人の暗黙知を標準化するソフトウエアだ。顧客から受注した3次元CADの図面データを開き、加工する面をクリックするとどういった工具を使うか、どんな削り方をするかが、選択式で画面上に表示される。それを選んでいくだけで機械加工用のプログラミングができあがる。あとはそのデータを自動的に工作機械へ送るだけ。そうすると切削が始まる。1機械あたり300の工具が候補として使われるが、それを加工パターンに応じてエンジニアが直感的な操作で選び取っていく。その際、切削条件や工具の回転数、材料に進入する角度なども紐づいて決まっていく。さらに同社は「デジタルツイン」でも中小の同業他社を圧倒する。プログラムができあがるやいなや、その加工をコンピューター上で自動的にシミュレーションするのだ。何か不具合や誤りがあればコンピューター上で修正する。実際の加工が始まった後にミスがみつかれば、コストや時間がかさみ非効率このうえないが、デジタルツインだとこうしたトラブルもほとんどない。』

従来の方法では利益が出ないため、他社がやりたがらなかった仕事を、同社はデジタル技術を使ってその改題を解決し、さらには製造業の抱える共通の課題解決のためのサービスを提供の装置の製造に着手するなど、事業内容を広げています。来月は後半部分をご紹介いたします。


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