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経営サポート隊通信
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Vol.117 2021年9月号

2021年09月01日

暑い日が続きますが
皆様お元気でお過ごしでしょうか。
今月も経営サポート隊通信を元気にお届けいたします!

【河合由紀子のちょっとイイ話】
今月は「2050年の技術~英『エコノミスト』誌は予測する~」(2017年文藝春秋)の中の『働き方は創意を必要とされるようになる』という章の中から抜粋したいと思います。
「雇用のあり方を変えつつある機械は、個人や社会と無関係に生まれる中立的ツールではない。その設計や使用法は、機械そのものが雇用や社会に及ぼす影響のみならず、われわれがどのような働き方を選択したかの表れである。設計と仕様の相互関係は、人間が貴重な時間を節約するために作った機械の進歩を見るとよくわかる。1960年代から70年代にかけては家電(洗濯機、乾燥機、掃除機)などの登場によりそれまで家事労働に縛られていた女性たちに労働市場に加わる時間的余裕が生まれた。もっと最近の例では、スマートフォンに埋め込まれたテクノロジーは他者との交流を持ちやすく、仕事を効率化しやすく、私生活を楽に管理できるように設計されている。その土台にあるのは、こうしたテクノロジーによって生まれた時間的余裕を、創造力、好奇心、イノベーションのような人間固有の時間と集中力を要する貴重な能力を発揮するのに振り向けられるという考えだ。
コンピューターによって、かつては人的資本集約的であったさまざまな作業にかかる時間が減ったのはまちがいない。(中略)しかしここには矛盾がある。たいていのコンピューターはたしかに人間に時間という贈り物を与えてくれる。だがそれと同時に、創造や深い思考といったきわめて重要な人間的活動の時間を奪っているのも事実だ。ユビキタスなテクノロジー、とりわけインスタント・メッセージや通知機能の発達によって、深刻な「テクノロジー過多」の状態が生まれている。働き手は絶え間なく送られてくる情報によって頻繫に仕事を中断され(自ら中断しているとも言える)、それによって注意力を削がれ、自らの知的資源を浪費している。要するに、落ち着いて創造的思考にふける時間が生まれるどころか、われわれの脳は貴重な情報のフリをした事実、虚偽の事実、噂などの奔流にかつてないほど振り回されているのだ。現代人の生活習慣の研究では、平均的な働き手は1日150回以上携帯電話を確認し、インスタント・メッセージやツイートなどの通知に10.5秒に1回の割合で作業を中断させられている。こうしたソーシャル・メディアのユーザーが、作業が中断するたびに集中力を取り戻すまでにかかっている時間は平均23分である。」この後本文は“意思決定を担うのはAIか人間か”という議論に移っていきます。
今回取り上げた部分で特に興味深かったのは、“機械は人間が貴重な時間を節約するために作られた”一方で“テクノロジー過多により仕事を中断され時間を浪費している”という部分です。意識的に時間を浪費しないような工夫をして、テクノロジーに翻弄されないようにしなければ、あっという間に時間はなくなってしまいますね。


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